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脂肪肝と肝硬変の違い

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肝細胞における脂肪の過剰な蓄積と、肝臓組織の瘢痕化による肝臓機能不全。

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脂肪肝

脂肪肝は肝臓内のトリグリセリドと他の脂肪の量が過剰になった病態である。

脂肪肝はそれ自体は有害な病態ではないが他の問題を引き起こす一過性又は長期の病態である。

肝臓は食物から摂取した脂肪を、体で使える状態にして蓄える。

トリグリセリドは体内に蓄えることができる脂肪でありエネルギーとして使用したり新しい細胞を作るために使用される。アルコールの過剰摂取、栄養失調、妊娠、又は中毒症状になると、肝臓における脂肪の分解が妨げられる。脂肪肝では、トリグリセリドを含んだ脂肪の塊が肝細胞に過剰に蓄積してしまう。

脂肪肝は無症状で、長期間気づかれない。重症になると肝臓の大きさが通常の3倍以上になり、痛みがでる。

脂肪肝は非アルコール性脂肪肝とアルコール性脂肪肝に分類される。

非アルコール性脂肪肝はアルコール摂取によらない疾患であり、単純脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎に分類される。単純脂肪肝では肝臓に脂肪が蓄積しているが肝臓に炎症はなく、肝細胞は損傷せず、肝臓障害や合併症は起きない。

非アルコール性脂肪性肝炎では肝臓に脂肪が蓄積している他、肝臓に炎症が起き肝細胞が損傷しており、瘢痕組織ができ、肝硬変や肝炎に進行することがある。

アルコール性脂肪肝は過剰なアルコール摂取で発症する。肝臓は摂取したアルコールのほとんどを分解して、体外に排出する。しかし、アルコールを分解する時、有害な物質が作られ、肝細胞の損傷、炎症、及び免疫機能の低下が起こる。アルコール摂取量に比例して肝臓が損傷する。

アルコール性脂肪肝はアルコールによる肝臓障害の最初の段階であるが、放置すると、アルコール性肝炎や肝硬変に進行する。

 

肝硬変

肝硬変は退行性の肝臓組織の瘢痕化である。瘢痕組織によりタンパク質を作る機能とホルモン、栄養、薬、及び毒素を処理する機能が低下する。

肝臓の正常な機能であるタンパク質を作ること、感染と戦うこと、血液を浄化すること、食物の消化を助けること、エネルギーを蓄えることができなくなる。

肝硬変により大量出血、虚弱、肝ガン、昏睡(アンモニアや老廃物の蓄積による)、および敗血症が生じ、最終的に死に至る。

肝硬変の合併症として、門脈圧亢進症、食道や胃の静脈瘤、腎不全、胆石などが現れる。

肝硬変の原因として、慢性アルコール中毒と肝炎がある。肝臓の瘢痕組織は無くならないが、肝硬変の原因を取り除ければ肝硬変の進行は抑えられる。肝硬変が進行した場合は腎臓移植が必要になる。

 

まとめ

  • 脂肪肝は肝臓内のトリグリセリドと他の脂肪の量が過剰になった病態である。
  • アルコール性脂肪肝はアルコールによる肝臓障害の最初の段階であるが、放置すると、アルコール性肝炎や肝硬変に進行する。
  • 肝硬変は退行性の肝臓組織の瘢痕化による肝機能不全である。
  • 肝硬変の原因は慢性アルコール中毒又は肝炎である。肝硬変が進行した場合は腎臓移植が必要になる。

参考文献

Medline Plus, US National Library of Medicine

Gale Encyclopedia of Medicine