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肛門裂傷と痔の違い 

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肛門内壁の破れと肛門静脈の肥大である。

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肛門裂傷

肛門裂傷は直腸下部(肛門管)の内壁の破れであり、便通時に痛みがでるが、重症化することはない。

肛門裂傷は年齢に関係なく生じるが、特に健康な若年層に多く生じる。

肛門裂傷の原因には硬く大きい便、便秘、下痢、及び出産があるが、クローン病の場合もある。

この他、肛門をコントローする外部と内部の2つの肛門括約筋が原因の場合がある。外部の括約筋は随意筋であるが、内部の括約筋は不随意筋である。内部の括約筋にかかる圧力が過剰に増加すると、痙攣が起き、肛門への血流が低下し、最終的には裂傷が生じる。

肛門裂傷の多くは家庭療法で数日から数週間で治癒する。軽度のものを急性肛門裂傷とよび、2から3ヶ月で治癒しないものを慢性裂傷とよぶ。家庭療法としては繊維質を多く含んだ食事と十分な水分の摂取、排便後の症状の軽減のための腰湯を行う。慢性の場合は治療が必要となる。

 

痔は肛門の周囲又は直腸下部の静脈の肥大により生じる。成人の約50%が50歳までに痔の症状を経験する。

肛門周囲の静脈は圧力により肥大することがある。静脈の肥大(痔)は直腸下部における圧力増加により生じる。原因として大便時の力み、長い排便時間、慢性の下痢又は便秘、肥満、妊娠、低繊維食などが考えられる。

直腸及び肛門の静脈を保持している組織は加齢で弱くなり、伸びるため痔が生じやすくなる。

肛門の内部にできる痔を内痔核とよび、外部にできるものを外痔核とよぶ。

外痔核は最も多く見られ、最も治療が困難である。痔の症状には痛み、かゆみ、着座の困難があげられる。痔は治療可能である。

痔核に血栓ができる場合がある(血栓性痔核)。危険性はないが、痛みが強く、ランセットに切開と排液が必要になる。

 

まとめ

  • 肛門裂傷も痔も症状は排便により生じる肛門周囲の損傷である。
  • 肛門裂傷は肛門の内壁の破れであり、痔は肛門周囲又は直腸下部の静脈の肥大である。
  • 肛門裂傷は容易に治癒するが、痔は治療が必要である。

 

参考文献

Anal Fissure”, WebMed

Hemorrhoids”, Mayoclinic