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婆さん仮説と見張り仮説

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高齢者の存在理由と高齢者が早起きである理由。

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婆さん仮説

人類は他の動物より長生きである。人類は子供が作れない年齢を過ぎても生きていることには進化上の利点があり、祖父母は両親に代わって孫の面倒が見ることができるとの仮設が立てられている。この仮設は「婆さん仮説」として知られている。

 

外敵に対する警戒

人間がジャングルで生活していた時代では、敵や動物から身を守るため、部族の誰かが目を覚まして警戒している必要があった。

人類は睡眠においても適応することにより、部族の誰かが目を覚まして警戒するようになった。

この結果、10代の若者は夜遅く就寝し、高齢者は夜明けと共に目を覚ます形質が備わった。

 

見張り仮説

50年前、心理学者フレデリック・スナイダーは集団で行動する動物は、一部が起きている間、他の動物は休んでおり、絶えず外敵に対する警戒を怠らないとする仮説を発表した。しかし、今日まで人間についてこの「見張り仮説」は検証されてこなかった。

この常時の警戒を維持するために、異なるクロノタイプ(朝型・夜型などの概日リズムに基づく行動パターン)が進化の過程で形成された。このパターンは年齢により変化する。若者は夜遅く就寝し、老人は早く就寝するようになった。

 

見張り仮説の立証

仮説を立証するために、米国カリフォルニア州ジューク大学のデービッド・サムソン氏はタンザニアの狩猟民族で調査を行った。

33名の成人の睡眠についての調査が20日間行われ、彼らの睡眠パターンはそれぞれ異なっていることが判明した。

調査結果から、少なくとも1人は起きているか、浅い眠りであり、容易に覚醒できた。平均8名が常に目覚めており、入眠時間の変化はグループにおける年齢構成により説明がついた。

この調査から更にグループの年齢層が広がれば、見張りのような行動をする人が増えてくることが判明した。

調査結果は若者と高齢者の睡眠障害は人類の進化によるものであることがわかった。遅延睡眠相障害により、朝の4時や5時まで眠れない人は、起きていることは家族を守っていると発想を転換すればよい。

 

参考資料

Linda Geddes, “Sleeping less in old age may be adaptation to survive in wild”, New Scientist 12 July 2017

 

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