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頭を良くする方法

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忘れることは良いことだ

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Photo: 単語カード

 

忘却の利点

忘却は学習と正反対の脳の動作である。物が思い出せないと人は当惑するが、。再び学習することにより理解が深くなる。

忘却は学習における隠れた利点であることは1世紀以上前から知られている。ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスは人が情報を再学習することにより、その情報が後日、思い出しやすくなることを発見した。

 

記憶の行方

研究から忘却により記憶が強化されることがわかっている。

記憶は脳から消滅することはなく、程度の差はあってもアクセス可能である。親友の名前のように、懐かしいことは容易に思い出すことができる。しかし、昔見たテレビドラマの主人公の名前などの細かい情報は記憶の深い所にしまい込まれ、思い出すことは容易ではい。

 

忘却の役割

忘却はコンピュータのメモリーに記憶された古いファイルのようなものであり、存在しているが、どこにあるのかわからない状態である。近年、脳科学の研究者は忘却を記憶が取り出せない状態であると考えている。

忘れることは脳に有益である。物事が思い出せないことにより不要な記憶が除去できるからである。

忘却がなければ、重要でない様々な記憶がいつも頭に浮かび、脳が疲労し、思考が妨げられる。朝から晩まで1週間前のニュースや、1年前のスケジュールや、10年前住んでいたアパートの電話番号などが絶えず頭に浮かんでしまう。

人はだれも覚えた物事をいつも思い続けてはいたくないはずである。今日のスケジュールを覚えていたいが、1週間前のスケジュールは覚えておく必要はないのである。

 

記憶の定着

この忘却のモデルでは、脳の長期記憶から情報を取り出すと、将来、情報を

容易に思い出すことができるようになる。重要なことを覚えておくためには、使い続ける必要がある。

英単語を覚えておくためには、定期的に使わなければならない。料理のレシピを覚えておくためには、時々その料理を作る必要がある。

 

脳細胞による記憶と忘却の作用

脳は忘却と記憶を促進するように作られている。記憶に関係する多くの脳細胞が記憶の消失に積極的に関わっている。新しい脳細胞が増殖すると忘却が促進される。新しい脳細胞が増えると記憶が書き換えられ、古い記憶は消去される。

 

忘却後の再学習の効果

人は忘れたことを再学習すると、そのことについて深い洞察が得られ、新たな発見につながることがある。

同様に、弱い記憶は理解を深めることに役立つ。弱い記憶は問題の解決につながるが、強い記憶は全体像を見失うことがある。

多くの研究から忘却により物事を推理することが可能になることがわかっている。

従って、創造性は記憶力のみならず忘却力によるものであるとも言える。

カリフォルニア大学の心理学者ベンジャミン・ストームは忘却の効果を研究に活用している。同氏が論文を執筆するときは、早めに始めれば、時間を開けて書き直すことで、完璧に仕上げることができる。重要な論文を読むときは、時間を開けて読みなおすことで、1度目で見逃していた多くの重要な情報を得ることができる。

 

参考資料:

Ulrich Boser, “Forgot Where You Parked? Good”, New York Times 2017-6-30