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色覚異常治療研究の最前線

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先天性色覚異常の遺伝子治療

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Credit:  Squirrel Monkey Facts, WW Entertainment News

 

赤緑色覚異常に対する治療法の研究

猿を使った色覚異常の遺伝子治療の研究が行われている。北欧系の男性で赤緑色覚異常のある人は約8%であるのに対して、リスザルのオスはすべて赤の光色素を作り出す遺伝子又は緑の光色素を作り出す遺伝子を受け継いでいるが、両方の遺伝子は受け継いでいないため赤緑色覚異常がある。

赤の光色素を作り出す遺伝子の備えていないリスザルのオスの網膜に赤の光色素を作り出す遺伝子を注入した。この遺伝子は緑を感知する錐体細胞に注入すると、これらの細胞は赤色に反応するようになった。この結果リスザルは3色の色覚を持つことが出来た。

リスザルのオスは生まれたときから赤に反応する錐体を備えていないが、赤を識別する脳の機能は機能していたため、先天性の色覚異常患者にも同様な手法が適用できる可能性がある。

 

完全色覚異常に対する治療法の研究

3種類色を識別する錐体が欠如している動物のモノクロの桿体を使用して色覚を取り戻す遺伝子治療法の研究が行われている。

この研究では、神経細胞の成長を促進する神経栄養因子を使用して遺伝子の注入が行われた。現在、この治療法が人体に安全でかつ効果があるかが追加研究されている。

 

成長因子を使った治療法の研究

成長因子のみの治療で人の錐体細胞の色覚の改善や回復が可能かどうかの臨床研究も行われている。この研究が成功すれば錐体の欠乏による色覚異常患者を救える可能性がある。

 

錐体の生理学的研究

現在更に、錐体が網膜でどのように成長し、人の一生を通して維持されているかの研究が行われている。この研究により幼年期に起こる色覚異常や、錐体の消失により成人で現れる色覚異常に対する治療法が確立されることが期待されている。

 

参考文献:

Facts About Color Blindness”, National Eye Institute

 

関連情報:

色覚異常 ― 網膜の錐体細胞の障害

夜盲症 ― 網膜の桿体の障害

網膜の桿体と錐体の違い