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高齢者に対する薬剤の作用 ― 薬物動態と薬力学

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高齢者には薬剤の効果が強く長く出る。

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Credit:  Introduction to Pharmacokinetics, learnpkpd

 

高齢者は薬剤による障害のリスクが高い。理由として、複数の持病の治療のため複数の処方薬を服用しており、加齢により薬物動態と薬力学が変化していることによる。

 

加齢による薬物動態と薬力学の変化

加齢により体の組成の変化や臓器(腎臓及び肝臓)が薬物動態的に変化する。

体の組成の変化により薬剤の分布が大きく変化する。体脂肪が増加し、除脂肪体重及び水分含量が減少することにより、水溶性薬物の血中濃度が上昇する。

血漿タンパク質の濃度も変化する。加齢により栄養状態が悪いか虚弱になると血中アルブミンが減少する。このためタンパク結合率の高い薬物は効果が強く現れる。

高齢者では排泄が変化し、多くの薬剤のクリアランスが低下する。更に、心拍出量及び腎臓や肝臓への血流も減少する。糸球体濾過率も50%低下する。

加齢により肝臓又は腎臓排泄が減少することにより、多くの薬剤の排泄半減期が長くなる。

加齢により、臓器の反応が変化するため、薬物動態に変化がなくとも薬剤を減薬する必要がある。

高齢者が青少年では適量の抗凝血剤(ワルファリンなど)を服用すると、出血する可能性がある。

 

臨床薬理

高齢者は処方薬の他に多くの市販薬も服用しているため、有害な薬物相互作用が増加する。

加齢による萎縮性胃炎や胃酸分泌量の低下のため、胃において薬剤の吸収が悪化する可能性があるにもかかわらず、胃腸からの薬物吸収は変化しない。

通常、薬剤は脂肪や筋肉に多く分布するが、加齢により脂肪や筋肉が減少する。このため、薬剤分布は大きく変化する。

この結果、高齢者は水溶性薬物に強く反応する他、脂溶性薬物の効果が長引くことになる。

加齢により、腎機能や肝臓機能が低下するすることにより、薬剤のクリアランスが低下する。

高齢者では多くの薬剤に対して強い反応が生じ、青少年における高用量での効果が高齢者では低用量で現れる。

 

関連情報:

高齢者の薬剤療法

高齢者の健康に影響を及ぼす要因

 

参考資料:

Introduction to Pharmacokinetics