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メンデルソン症候群 ― 誤嚥性肺炎

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低酸素血症性呼吸不全に至る疾患

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Photo:  Dr. Curtis Mendelson

 

全身麻酔患者が発症する疾患

1946年に産婦人科医カーティス・メンデルソン(Curtis Mendelson)が全身麻酔による無痛分娩の後では重度な誤嚥性肺炎が高率で発症していることを報告した。この疾患を発見者の医師の名前にちなんでメンデルソン症候群とも呼ばれている。胃内容物の誤嚥により、数時間以内に進行性の低酸素血症性呼吸不全を発症する。

 

誤嚥による臨床症状

症状として、咳、息切れ、発熱、呼吸困難が現れる。身体的検査では断続性ラ音、喘鳴、チアノーゼ、低血圧がみられる。

胸部X線検査では両側又は片側肺胞浸潤影が認められる。

通常、発症から2から3日で症状が寛解する。

誤飲物が大きい場合は、気管閉塞及び窒息に至る場合がある。

寛解しても、2から3日で悪化することがある。この場合は重細菌感染の恐れがあるため、直ちに検査が行われる。

 

診断

誤嚥性肺炎の診断は病歴と症状に基いて行われる。

気管支鏡検査で気道に紅斑及び浮腫が見られると誤嚥が疑われる。気管支肺胞洗浄により細菌感染が確認できる。

 

予防

誤嚥を繰り返す場合は、経腸チューブにより栄養補給を行うが、微小誤嚥は防止できない。

入院患者、特に病気や鎮静剤の影響で精神状態が変化した患者では、経口影響補給や半横臥姿勢で誤嚥のリスクが低減できる。

 

治療

誤嚥性肺炎の場合は、気道確保が最重要である。

口腔咽頭及び気管吸引により誤嚥のリスクを低下させる。必要に応じて気管挿管が行われる。

気管支鏡により残留微細物や固形物が定期的に除去される。酸性の分泌物は気道や実組織を損傷するため、制酸剤の投与により胃内のpHを上昇させる。

呼吸困難な場合は、酸素吸入が必要。重細菌感染が見られるときは抗生剤投与が行われる。

 

予後

重度の呼吸不全があると、致死率は高くなる。それ以外は、数日で寛解する。誤嚥発症要因がある限り、誤嚥性肺炎の再発リスクが高くなる。

 

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