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嚥下と咳反射の機能不全 ― 誤嚥

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気道保護メカニズムの障害

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Photo:  ガムを噛んで嚥下力を強化する。

 

誤嚥は気体以外の異物を肺に吸い込むことである。誤嚥物は主に胃内容物や口腔咽頭の分泌物である。

 

臨床的に有害な誤嚥

ほとんどの誤嚥は自然治癒する。臨床的に有害な誤嚥として異物の吸い込みによる急性肺炎、呼吸不全、及び微細物の吸い込みの繰り返しによる慢性呼吸疾患がある。

これらの症状は胃内容物による肺の細菌感染により起こる肺炎に似ている。

 

誤嚥防止メカニズム

誤嚥は気道保護メカニズムにより防止されている。このメカニズムの障害が誤嚥である。気道保護メカニズムは嚥下メカニズム、咳反射、及び声門上部により構成されている。

健常人で保護メカニズムが正常に働いていても微小誤嚥が起こるが、肺クリアランス・メカニズムにより肺が保護される。

 

誤嚥が起こるわけ

保護メカニズムが機能しなくなると、誤嚥が起こる。

意識障害でも、嚥下と咳反射が機能しなくなり、誤嚥を生じる。

更に、虚血性脳卒中などの神経障害により嚥下障害に付随して誤嚥が起こる。

頭部や首の悪性腫瘍摘出のために外科手術や放射線治療を受けると、口腔咽頭の組織の変化により、口内分泌物の誤嚥が起こりやすくなる。

誤嚥による傷害は誤嚥物の特性により判断される。誤嚥物が胃内容物のように酸性のときは、化学性肺炎の発症リスクが高くなる。

粒子状物質を誤嚥すると、肺に重大な炎症が現れる。肺全体に誤嚥物が拡散すると急性重症肺炎が生じる。

誤嚥により肺に薬剤性火傷のような傷害が起こる。

誤嚥物が酸性の場合は、気道の上皮細胞及び肺胞細胞に傷害が現れる。数時間で細胞が機能しなくなり、肺浮腫を生じる。重度の場合は、びまん性肺胞障害が起こる。

 

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