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圧迫性ショック ― 緊張性気胸と心タンポナーデ

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胸部外傷による空気と血液が肺と心臓に重大な障害をもたらす

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Photo:  緊急心膜穿刺、Dr. Gaber Saied Mubarak

 

肺又は心臓の圧迫

肺又は心臓が空気、液体、又は血液で圧迫されると、右心室の拡張期充満または適切な換気や酸素供給ができなくなる。

肺又は心臓が圧迫されると、ショックにより顕著な病態が現れる。これらが緊張性気胸と心タンポナーデである。

 

緊張性気胸

緊張性気胸では胸膜腔内の空気が同側の肺の拡張を妨げ、縦隔が偏位する。上下大静脈の圧迫は右心房及び右心室の血液が不十分になるため、心拍出量が減少する。

原因としては,人工呼吸器、貫通性外傷、鈍的胸部外傷、中心静脈カテーテルによる肺損傷などがある。

 

臨床症状

典型的な所見としては同側の肺からの呼吸音の欠如、頸静脈拡張、及び反対側への気管偏位がある。

 

治療

治療法としては、針又は胸腔鏡により肺から空気を排出する。

 

心タンポナーデ

心膜から出来た心嚢には50mL以下の心嚢液で満たされているが、心嚢に血液が溜まると心室を圧迫する。このため心臓の拡張が制限されてしまう。

胸の外傷が心膜と心臓に達すると裂け目ができるが、溜まっていた血液を排出するには小さすぎるため、血液は柔軟性のない心嚢に留まり、圧力が心室の内側に加わる。

外部からの圧迫により心室の拡張が出来なくなり心拍の一回拍出量が減少する。

 

臨床症状

患者の心膜と上腹部周辺の傷、低血圧、頻脈、頸静脈拡張、及び心音が弱いときは心タンポナーデを疑う。

 

治療

治療は心膜穿刺及び胸骨切開又は開胸で行う。

 

参考資料:Dr. Gaber Saied Mubarak, “Emergency Pericardiocentesis