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救急搬送とプライマリー・サーベイ

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命にかかわる傷害を見逃さない。

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Photo:  救急搬送

 

救急搬送

統計によると、患者を病院に搬送する前に高度な救命処置を行うことより、応急処置と迅速な搬送が重要であることが判明している(注1)。

 

静脈アクセス

外傷患者に対しては迅速に輸液のための静脈アクセスが必要である。

 

輸液の種類と速度

投与する輸液の種類と速度は患者の出血量の程度により決定される。

静脈アクセスでは更に鎮痛薬、鎮静薬、及び抗生薬を投与することができる。等張晶質液及び血液製剤による輸液の速度はショックの程度と種類により決定される。

 

プライマリー・サーベイ

傷害が鈍的外傷、創傷、又は熱傷の区別なく、プライマリー・サーベイは意識、気道、呼吸、及び循環であるが、気道の検査が最重要である。

 

気道確保

全ての外傷患者に酸素を投与して末梢血管への酸素供給を最大にする。患者が意識喪失又は気道に異物があるため気道が塞がっているときは、気管挿管を行わなければならない。

頚椎骨折又は靭帯断裂を避けるため挿管時に頸椎が動かないようにする。

気道狭窄時には緊急措置として輪状甲状膜切開を行って気道を確保する。気管切開は長期間の気道確保が必要な場合に行われる第2選択肢である。欠点として、処置にで時間がかかり、出血の可能性がある他、感染のリスクが高い。

 

胸音

胸壁が左右均等に動いているか、胸音が左右均等で以上がないこと、更に胸壁から捻髪様ラ音、不安定さ、又は圧痛がないか確認しなければならない。

 

胸腔チューブ

緊張型気胸又は血胸が疑われる場合は、大口径の胸腔チューブを肋骨間に挿入する。

胸腔チューブは診断及び治療で使用される。1500ml以上の血液が排出される場合は血胸症の可能性がある。胸腔チューブを通して毎時200から250mLの血液が排出されると緊急に胸部の外科的検査が必要になる。

 

血液循環

血液循環は頸動脈、橈骨動脈、及び大腿動脈の脈拍に注意して臨床的に判断する。毛細血管の再充満が早ければ(圧迫して白くなった皮膚がすぐ元に戻れば)灌流は良好である。

瀕死の患者は頸動脈の脈拍がほとんどなく、精神状態が変化し、皮膚は斑状態に変色し、冷たくベトベトする。

 

神経機能

グラスゴー・コーマ・スケールにより患者の開眼反応、言語反応、及び運動反応を測定する。脳の外傷患者に対しては、生理食塩水で輸液を行う。

 

体全体の外傷の検査

患者の背中を含めた全ての外傷を検査しなければならない。

 

注1: Stiell IG, et. al, “The OPALS Major Trauma Study: impact of life-support on survival and morbidity”, CMAJ. 2008

 

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