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致死性の高い傷害 

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直ちに死に至る傷害と時間を経て死に至る障害がある。

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Photo:  体に致死性の傷害を起こす弾丸

 

致死性の高い傷害の3つのモード

1番目のモード ― 心臓からの大量出血、大血管の裂傷、又は重大な神経損傷により患者の半数は数分以内に死に至る。

1番目のモードでは、治療を受ける時間的な余裕がない。この場合の罹患率や死亡率を低下させる唯一の方法は予防と教育である。

 

2番目のモード ― 気道閉塞、ショック、又は神経の機能障害があると患者の約30%は数時間後に死に至る。この場合は適切な治療や手術が行えれば患者は助かる可能性がある。

2番目のモードには硬膜外及び硬膜下血腫、胸部傷害、肝臓裂傷、脾臓破裂、骨盤骨折、又は複数の外傷による大量出血がある。

 

3番目のモード ― 多臓器不全と重度の感染があると患者は数週間後に死に至る。3番目のモードでは、傷害の程度、傷害に対する患者の反応、及び傷害後の合併症の影響により相当の日数を経てから患者は死に至る。

衝突による傷害

外部から力を受けると体は生体構造的又は生理学的に変化する。

一定の速度で走行している車が静止している物体に衝突すると、車の莫大なエネルギーが物体と車の構造に伝わり、車が停止するまで両者が変形する。

これらの力は車の搭乗者に伝わり、悲惨な結末を迎える。

 減速力は搭乗者の内臓に伝わり、圧迫、せん断、及び超過圧力により内蔵が損傷する。

 

貫通創

貫通創は弾丸や矢などの運動エネルギーにより生じる。銃から発射された弾丸では、爆風効果により貫通した穴より大きい空洞ができる。

ナイフによる単純な刺し傷では空洞はできないが、生命に関係する組織が影響を受ければ、死に至ることがある。

 

傷害の病理 

ショックにより臓器の灌流が低下して、代謝を維持するための十分な酸素が供給できなくなる。末梢灌流が低下すると細胞が低酸素状態になり酸化的リン酸化反応が遅くなる。細胞外液に水素イオンが蓄積して、代謝性アシドーシスが起こる。

外傷性ショックは大まかに4つに分類される。出血性、圧迫性、神経性、及び心因性であるが、ほとんどのショックは血液量減少によるものである。

副腎機能不全、アナフィラキシー、及び敗血症ショックは回復期に起こることがある。十分な酸素化血液で細胞及び臓器の灌流を回復させる。

 

参考文献:Justin Sobrino, MD et. al. “Timing and causes of death after injuries