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一酸化炭素中毒 ― どこにもリスクがある

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治療を誤ると神経精神的な症状に長く悩まされる。

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Credit:  七輪の危険性、アウトドアまとめ

 

一酸化炭素は炭素含有の燃料を燃焼させると発生する。

炭素系燃料はいたるところで使われているため、煙を吸い込むことは一酸化炭素を吸い込むことである。あるいは燃料を使った暖房器具、エンジン、などの誤動作や排気ガスにより一酸化炭素を吸い込む可能性がある。

中毒で最も多い死亡原因が一酸化炭素中毒である。

 

一酸化炭素中毒が起こるわけ

一酸化炭素は容易に肺胞を通して毛細血管に入り、血液中のヘモグロビンと強く結びつく。

一酸化炭素と結合したヘモグロビンが変化して、酸素を分離する機能及び末梢組織に酸素を届ける機能が極度に低下する。

末梢組織は低酸素状態におちいり、重度な機能障害を起こす。特に、脳や心臓など酸素を多く必要とする組織で虚血障害が起こる。

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中毒症状

軽度の一酸化炭素中毒では明確な症状は現れず、風邪と間違うような症状、例えば頭痛、吐き気、倦怠感、疲労感、めまい、などであるため、中毒にかかっていることに気づきにくい。

中毒症状が重くなると神経精神的な症状が現れる。症状としては注意力の散漫から興奮、混乱、幻覚まで幅広い。中毒症状が最も重くなると、発作や痙攣が起きる。

臨床所見としては頻脈や高熱が現れる。重度の中毒症状では乳酸アシドーシス、不整脈性又は虚血性心不全、肺浮腫、及び横紋筋融解症が生じる。

 

医師による診断

臨床所見では特異な症状が現れないないため、診断では特別な注意が払われる。火災に巻き込まれた人、その他一酸化炭素を吸入したと思われる人すべてに対してCOオキシメータによりカルボキシヘモグロビン濃度が測定される。

測定値と臨床所見は正確に対応しないが、カルボキシヘモグロビン濃度が10%以上になると一般に症状が現れる。

 

治療

中毒患者は100%の酸素で治療を行い、血液から除去に一酸化炭素を除去する。

神経状態が低下した状態又は呼吸に異常がある場合は、人工呼吸器が必要であり、気管挿管により100%の酸素を投与する。

 

高酸素療法

2.5から3.0気圧の高圧酸素療法により血中溶解酸素量は10倍以上に増加させることができる。重度の中毒症状を改善するためには約2時間酸素療法を行う必要がある。24時間以内に高圧酸素療法を3度行えば神経認知障害の後遺症のリスクが低くなる(注1)。

 

予後

一酸化炭素中毒の症状により死亡率は変化するが、重度の場合は約30%が死亡する。

急性一酸化炭素中毒患者の約3分の2は後遺症なく回復する。しかし、残りは長期の神経精神的な症状が現れる。症状は中毒から1ヶ月以内又は6から9ヶ月後に認識脳障害、気分の異常な変化、記憶障害、及び運動感覚障害として現れる。

 

参考資料: 財団法人日本中毒情報センター、「一酸化炭素

注1: Weaver LK, et al. “Hyperbaric oxygen for acute carbon monoxide poisoning

 

関連情報: 火災で煙を吸ってはいけない理由