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高齢者の骨の消失 ― ビタミンDとPPARG

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骨吸収阻害治療により骨の消失を防ぐ

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Photo: 日光浴でビタミンDを作り出す。

 

ビタミンDの欠乏

老齢になると、特に80歳代や90歳代になると骨の消失が急激に進む。

骨の消失の主要な原因として、高齢者はビタミンD及びカルシウムの摂取が少なく、また陽に当たる機会も少なくなることによる。

更に、高齢になると、皮膚がビタミンDの前駆体を作り出す機能が弱まる。これらのことから、二次的な副甲状腺機能亢進症により副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、骨からカルシウムが血液中に溶けだす。すなわち、骨の吸収が進行する。

 

骨の代謝の加速

加齢で骨の代謝が加速するこの他の要因としてアミノ酸の1種であるホモシステインの血中濃度が上昇があげられる。

更に、加齢によりインターロイキン6などの炎症性サイトカイン及び腫瘍壊死因子も増加して骨の代謝を刺激する。

造骨細胞の数と機能は年齢とともに低下するため、高齢者では骨の形成が減少する。

これらの変化は骨格のインスリン様成長因子Iの血中濃度が低下または、造骨細胞の生存を伸ばすか、間質細胞の動員を誘発する栄養因子が関係する。

間質細胞の変化により造骨細胞の分化が行われず、骨髄の脂肪生成が増大する。

PPARG

骨髄の脂肪の浸潤は脂肪細胞の分化に必要なPPARG(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)である核内受容体及び転写要素の作用が年齢とともに強くなることが関係している。

糖尿病治療薬チアゾリジンジオンや抗炎症薬グルココルチコイドなどの薬剤によりPPARGの作用が強化されることがある。

PPARGは新たな破骨細胞の増殖を誘発するため、骨の吸収と形成に顕著な相違が生じる。

造骨細胞の機能が損なわれた結果、骨の吸収が顕著になる。

 

骨吸収阻害治療

加齢による骨の消失の原因とは無関係に、エストロゲン及び他の骨吸収阻害治療により骨の吸収の防止及び骨のリモデリングをリセットすることができる。

 

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