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潜水で起こる病気 - 減圧症

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スキューバダイビングで起こる症状と治療

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Credit: Scuba Diving, SDI TDI ERDI

 

水深6メートル以上の潜水を行うと周辺圧力の低下により、数分から24時間以内に体に症状が現れる。

症状の種類と程度は周辺圧力の変化の回数と大きさにより異なるが、個人差がある。

 

減圧症の種類

減圧症の診断は症状に基づく。症状は潜水浮上による窒素ガスの泡によるもの(減圧病)、潜水降下による気圧性外傷(副鼻腔気圧性外傷又は耳気圧性外傷)、潜水浮上による気圧性外傷(肺気圧性外傷)、及びより深刻な動脈ガス塞栓症が現れる。症状は泡が発生した体の部位により異なる。

 

減圧病タイプI

減圧病タイプIは減圧痛又は潜函病とよばれ、症状として軽度から重度の関節痛、及び四肢の麻痺が生じる。発疹とリンパ浮腫が生じることもある。

減圧病タイプII

減圧病タイプIIの症状として全身(疲労、血液量減少性ショック)、心肺(咳、胸骨下胸痛)、耳(目眩、難聴)、又は神経(運動失調、失語症、言語障害、失禁、錯乱、性格の変化、鬱病、麻痺、及び失神)が生じる。

 

耳気圧性外傷

耳気圧性外傷は潜水降下時に起き、外耳、中耳、及び内耳に影響が出る。外耳の症状として耳が詰まった感じや耳痛が生じるが、これらは耳栓や耳垢の詰まりによる。

中耳の症状としては耳痛、目眩、耳鳴り、一過性伝導性難聴、及び顔面神経麻痺が生じる。これらはアレルギー性鼻炎又は上気道感染によるエウスタキー管の閉塞による圧力の不均衡が原因である。

内耳気圧性外傷の症状として頭蓋内圧力の上昇及び内耳膜(窓)の破裂が生じる。内耳気圧性外傷の症状として知覚神経性難聴、耳鳴り、目眩、吐き気、及び嘔吐が生じる。

 

副鼻腔気圧性外傷

副鼻腔気圧性外傷は潜水降下時に症状として顔面痛や鼻血が生じる。アレルギー性又は感染性鼻炎があると症状がより生じやすい。

 

肺気圧性外傷

肺気圧性外傷は潜水での死亡事故の2番目にあげられる。潜水浮上後、胸膜痛、呼吸困難、又は咳がある場合はこの病態が疑われる。

 

臨床検査

気胸の臨床検査の所見としては頻呼吸、皮下気腫、及び打診で鈍い音、又は呼吸音の低下があげられる。

緊張性気胸又は重度の気縦隔症では全身血液の静脈還流量及び心前負荷が減少する。血圧低下により難治性ショック又は心停止にいたる。

気胸では胸部チューブを使用したフィステル形成の後、再圧療法を行うため、胸部及び頸部放射線検査が必要である。

動脈ガス塞栓症は肺気圧性外傷により生じるため神経の検査が必要である。

神経の臨床検査の所見は急性脳卒中に類似している。症状として意識消失を含む限局性又は片側性運動障害、視覚障害、感覚障害、言語障害、及び認知障害が生じる。

症状は潜水浮上後10分以内に生じる。減圧病タイプIIの場合は神経障害が遅れて現れる。

治療

減圧症の治療は酸素吸入と標高が最も低い地点への搬送である。

気胸では針による減圧又は胸腔チューブによるフィステル形成を直ちに開始する。

症状が2時間以上継続または症状が強くなるときは再圧療法が必要である。100%の酸素の使用又は高圧酸素室への搬送を行う。

 

予後

減圧症患者が生存できるか否かは早い診察と治療にかかっている。緊急の高圧酸素療法を早く開始できれば患者の95%で症状が改善できる。

減圧症の症状は神経障害であっても、症状が現れてから24時間以上経過しても、再圧療法は効果が得られる。

 

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