医学よもやま話

医学情報をご提供します。

骨粗鬆症の病理

advertisement

骨粗鬆症は骨の吸収と形成のバランスが崩れて起こる

****

f:id:tpspi:20170605072112g:plain

Photo:  身長計、ドイツ・ヘラー社

 

成人の骨密度は青年期の最大骨量と生涯における骨の損失により変化する。

これら2つの要因は骨を形成する骨芽細胞、骨を吸収する破骨細胞、及び骨の内部にある骨細胞による代謝(リモデリング)により影響を受ける。

リモデリングには遺伝子、環境、及びホルモンが相互に作用する。骨の形成又は吸収における変化により骨が消失したり、青年期に最大骨量が獲得できなかったりする。

骨の質や量が低下することにより外傷により骨粗鬆症性骨折が起こるが、骨密度と骨折には明確な逆比例の関係がある。従って、骨量が低下するリモデリングの変化は骨粗鬆症の主要なリスク要因である。

 

骨における男女の差 

女性は男性より皮質骨密度のピークが男性より低く閉経で骨が急速に消失する。この結果、男性より早く骨折のしきい値(骨粗鬆症性骨折のリスクの増大する骨密度のレベル)に到達する。

 

骨折のリスク要因

骨の吸収が形成より多くなるように骨のリモデリングが行われると、骨が消失する。骨の消失のタイミングは骨折リスクの重要な決定要因である。高齢者で骨が急速に消失すると、ほとんど回復はできず、骨折リスクが非常に高くなる。

一方、幼年期や青春期では短期間での骨の代謝が行われる。刺激要因(例えば、下垂体腫瘍)がなくなると、骨折リスクは基準点まで低下し、骨密度は回復する。

 

閉経による骨の影響

閉経後の女性ではエストロゲンの欠乏により破骨細胞が活発に作用するため絶えず骨が消失する。

基本多細胞ユニットは強固に結合しているが、長期に渡り骨が急激に吸収されると、吸収と同じ速度で形成が行われないために、吸収と形成のバランスが崩れる。閉経後数年間(及び閉経前期の終わりに)、エストロゲンのレベルが低下すると柱状骨が消失する。

この後、皮質骨が薄くなる。これらの骨の変化は吸収と形成の不一致により生じる。成人の骨のが消失する時は、骨の強度を維持するために骨膜が増殖することが判明している。

閉経においては、平均、骨が毎年1%づつ消失する。一部の女性では、脊椎骨密度が毎年5%づつ消失する。早発閉経、化学療法性卵巣機能不全、及びスポーツによる無月経では骨の吸収が形成を上回る。

閉経後の女性では、エストロゲンの欠乏により、骨の吸収の形成に大きな相違が生じる。閉経から数年間、毎年2から5%の割合で骨が消失することがある。この後、骨の消失は緩やかになる。

 

骨粗鬆症防止のホルモン療法

ホルモン補充療法(HRT)のリスクと有益性を明らかにするために,米国で行われた大規模な臨床試験(WHI)で、否定的な結果が示されてから、ホルモン補充療法がバッシングを受けているが、日本産科婦人科学会は「ホルモン補充療法ガイドライン」を2017年度版に発表し、HRTは適正に使用すればきわめて有用であるとの見解を示しており、エストロゲン補充療法により骨の消失が防止できることを認めている(注1)。

 

注1: 日本産科婦人科学会「ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版<案>

 

関連情報:

骨のリモデリング ー 骨の吸収の形成

高齢者の健康寿命に重大な影響を与える骨の健康