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スキューバダイビングと減圧症 - 減圧症のシナリオ

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気圧の変化で発生したガスの泡で臓器に虚血が生じる

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Photo:  スキューバダイビングによる海底の撮影

 

潜水降下時

スキューバダイビングで潜水降下すると、周囲圧力が増大し、スクイーズによる顔や副鼻洞に痛みが生じる。

マスク内が陰圧になり、眼窩周辺血管や目の血管などがうっ血し、腫れ、痛み、結膜下出血が生じることがある。

さらに、顔の洞、中耳、及び外耳道が影響を受けることがある。

顔の洞、耳、及び肺の組織の気圧性外傷は周辺圧力の変化及びこれによるガス体積の増加又は減少により生じる。

体内のガスの体積が減少するため洞と耳の器官の血管にうっ血が生じ、鼓膜が破裂することがある。

潜水浮上時

潜水浮上時に、息を止める場合で、閉塞性肺疾患で呼気時間に遅延があり、エアートラッピングがあると、肺気圧障害のリスクが高くなる。

体内のガスの膨張により肺胞と肺の間質組織に圧力差が生じ、肺の伸縮の限度を超えると、肺胞が損傷し、肺間質組織性肺気腫が生じる。

ガスが更に膨張すると、気胸、縦隔気腫、心膜気腫、及び軟組織性肺気腫が生じる。

肺気圧障害により肺動脈内に遊離ガスが膨張し、動脈ガス塞栓症が生じる。

肺毛細血管のフィルターメカニズムが損われたり、右から左の心臓内シャントにより泡が血流に入ることにより、遊離ガスの泡が血流に入ることがある。

泡は脳、脊髄、心臓、肺、又は腎臓に送られ組織の虚血や梗塞を招く。

潜水降下時にガスの分圧が増大するため肺毛細血管に溶けるガスの量が増加する。

血液に溶けている酸素は体の正常な代謝に使用されるが、吸気に多く含まれている窒素は血液や組織、特に脂肪に多く溶け込む、

スキューバダイビングで潜水浮上時、周辺圧力の低下により組織が窒素で飽和し、血管と組織に窒素の泡として放出される。

減圧による生じた窒素の泡で組織が圧迫される他、泡は血管を介して臓器に送られ、塞栓が生じる。

毛細血管又は細静脈を閉塞させる窒素の泡により内皮が損傷し、組織が虚血し、炎症仲介物質が活動又は組織灌流障害が生じる。

ガスの分圧の増加によりタンパク質が変性し、細胞膜からの脂肪酸が放出するため減圧症が生じると考えられている。