医学よもやま話

医学情報をご提供します。

胃癌ができるわけ - 組織病理学要因と遺伝子要因

advertisement

ピロリ菌感染と遺伝子メカニズムの変異

****

 

f:id:tpspi:20170601095004g:plain

Credit:  ピロリ菌、The Cause of Stomach Ulcers!

 

胃癌の組織病理学的要因

胃癌の組織病理学上の特徴として腫瘍の分化、胃壁への侵食、リンパ節転移、及び腫瘍内の印環細胞の有無がある。

この他の特徴としてポリープがあげられる。ポリープには良性と悪性があり、生検で判断を行う。初期の胃癌は胃の表層に生じており、近位のリンパの転移していても、予後は良好である。日本では、胃カメラの普及により初期の胃癌を見つけることに成功しており、欧米と比較して、胃癌の5年死亡率は大幅に低下している。

ピロリ菌はインターロイキン1βによる炎症反応を誘発して胃癌発症のリスクを高めると考えられている。

ピロリ菌感染が慢性になると慢性萎縮性胃炎を引き起こし、無塩酸症により、細菌の増殖により食物中の硝酸塩が亜硝酸塩に変化する。

これらの亜硝酸塩が遺伝要因と組み合わさって細胞の異常増殖、遺伝子変異、及び最終的には胃癌が発生する。ピロリ菌感染により骨髄から幹細胞が集められ、これらが胃癌形成に寄与している。

胃癌の遺伝子要因

胃癌は更に遺伝要因により生じる。血液型がA型の人は胃癌発症リスクが他の血液型と比較して多い(注1)。

癌遺伝子活性化、腫瘍抑制遺伝子の不活性化、及びDNAマイクロサテライト不安定性の遺伝子メカニズムにより胃癌が生じる。

胃癌では、APC(腺腫様多発結腸ポリープ)遺伝子相同染色体の一方の領域を部分的な欠失が認められている。p53腫瘍抑制遺伝子はG1-S細胞周期変化を規制しDNAの修復及び細胞死を制御している。

胃癌のみならず、この前癌状態でもp53遺伝子が変異していることから、p53遺伝子の変異は胃癌発生の初期の状態であることがわかる。

DNAマイクロサテライトの変異又は不安定性は非ポリープ性大腸癌でみとめられるが、散発性の胃癌でも生じる。遺伝子変異はDNAマイクロサテライト不安定性の結果として蓄積される。

 

注1:Zhiwei Wang, et. al., “ABO Blood Group System and Gastric Cancer: A Case-Control Study and Meta-Analysis