医学よもやま話

医学情報をご提供します。

胃にできる悪性腫瘍

advertisement

胃癌は初期段階では無症状であるが、進行すると最も痛みが出る癌の1つである。

****

f:id:tpspi:20170528122148g:plain

 

胃にできる腫瘍は大部分が悪性で、90から95%が腺癌である。悪性腫瘍としてまれに非ホジキンリンパ腫やや平滑筋肉腫が生じる。胃にできる良性の腫瘍として平滑筋腫、類癌腫瘍、及び脂肪腫がある。

 

胃癌にかかる人

胃癌が世界的に見て特定の地域に偏っていることから環境因子が胃の発癌に影響を及ぼしていると考えられている。

ハワイやブラジルに移民した日本人には胃癌が少ない。これはライフスタイルと環境因子が異なることによる。

胃癌は日本においては発症者数および死亡者数で上位を占めている。

胃癌は50歳から70歳で多く発症するが、30歳未満では少ない。進行癌の場合、5年生存率は20%未満である。

 

危険因子

胃腺癌の危険因子は環境因子、遺伝因子、及び疾病素因に分類される。

胃癌患者からはピロリ菌が多く検出されている。

ピロリ菌感染、悪性貧血、又はその他の原因により無塩酸症状態になる。胃の中の細菌増殖して硝酸塩を亜硝酸塩に変化させ、胃に腫瘍が形成される。

土壌及び飲料水における硝酸塩の濃度が高い地域では胃癌による死亡率が高いことが知られている。胃癌多発地域では、腸上皮化生(小腸粘膜類似の胃粘膜などの形質転換)の有無に関係なく、萎縮性胃炎と胃癌には強い関係が見られる。

悪性貧血があると胃癌の発症リスクが数倍増加。さらに、萎縮性胃炎と胃癌には共通の危険因子が存在している。

萎縮性胃炎と腸上皮化生は胃癌の中間段階である。

良性の胃潰瘍は胃癌発症の素因とはならないと考えられている。しかし、良性の腫瘍のために胃部分切除後に胃遺残組織がある場合、手術後15から20年間、胃癌発症リスクは1.5から3倍に上昇する。

胃癌が進行している場合の5年生存率は15%未満であるが、胃癌の早期発見やピロリ菌駆除により胃癌の予防率は75%に達している(注1)。

胃癌危険因子のまとめ

環境因子

  • ピロリ菌感染
  • 食事 - 塩、硝酸塩/亜硝酸塩、及び炭水化物の過剰摂取、果物、野菜、ビタミンA及びCの欠乏、
  • 貧困
  • 喫煙

 

遺伝因子

  • 胃癌の家系
  • 遺伝性非ポリポーシス性大腸癌
  • 血液型A

 

疾病素因

  • 萎縮性胃炎
  • 悪性貧血
  • 腸上皮化生
  • 胃腺腫性ポリープ(2センチ以上)
  • 胃遺残組織
  • 胃上皮異形成
  • 肥大性胃炎
  • 慢性胃潰瘍

 

注1:Laura Hampson, “Stomach cancer symptoms: Five common warning signs you should NEVER ignore

参考文献: Anil K. Rustgi, “Neoplasms of the Esophagus and Stomach”, Cecil Medicine