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食道癌の治療

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癌治療で最も難しく、予後も悪い。

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手術治療

食道癌の治療の中心は手術である。医療技術の向上により、手術における死亡や手術後の死亡は減少しているが、未だ大掛かりで難しい手術である。手術には経胸腔手術、経裂口手術、及び根治的一括切除がある。食道癌の部位により、全食道切除術又は部分食道切除術が行われる。全食道切除術では、残った胃を頸部まで持ち上げて残りの食道とつなぐ術式(残胃挙上再建)が行われ、部分食道切除術では、患者の小腸を一部切除して、切除した食道を採取した小腸で置き換える小腸間置再建術,または同様に結腸で置き換える結腸間置再建術が必要である。食道切除により両側の迷走神経が切断されるため,胃内容停滞を予防するために幽門形成術が行われる。

手術の合併症には,吻合部縫合不全,瘻孔,および狭窄,胆汁の胃食道逆流,ダンピング症候群などがある。下部食道切除術後の胆汁逆流による胸部灼熱痛のため、術後に,胆汁を迂回させる空腸吻合術が必要になることがある。胸部の間置小腸または結腸への血液供給は不十分であるため,間置腸管の捻転,虚血または壊疽が起こることがある(注1)。

このように、食道切除術は大掛かりな手術であり、高齢者や持病のある患者には行うことができない。

近年では、多くの医療機関で胸腔鏡や腹腔鏡を使用して食道切除術が行われているため、患者の負担は大幅に低下している。

 

薬剤療法

食道癌のステージに応じて、手術前(ネオアジュバント)化学放射線療法又は術後(補助)化学放射線療法が行われる。

 

予後

食道癌の治療を受けた患者の5年生存率はステージと治療方法により異なる。

ステージがT1およびT2でリンパ節肥大がなければ、手術のみで5年生存率は60%以上である。

手術ができた場合の早期食道癌0期の手術後で70から80%、1期では50から60%、2期では30から50%、3期では30%以下である。

手術ができない進行癌の場合は、4期の場合は、平均生存期間は1年未満である。

食道癌が転移している場合は、緩和療法が行われる。緩和療法として、食道に固形や液体食物が通るように内視鏡下ステント留置、病変遠位で胃に栄養を送る経皮内視鏡胃瘻チューブの留置、完全非経口高栄養法、疼痛管理、及び全身化学療法が行われる。

 

食道癌のリスクを減らすために

食道に癌ができると、食物や水が喉を通りにくくなり、痛みを感じるようになる。この状態になると、食道癌は末期状態で、生活の質が損なわれ、治療は緩和療法が主体となり、大掛かりの手術を受けても、生活の質が損なわれ、さらに余命は短くなる。

食道癌の最大のリスク要因は、喫煙、飲酒、と肥満である。飲酒と肥満は自分でコントロール可能であるが。受動喫煙は国でコントロールしてもらうしか無い。国が屋内での喫煙を全面禁止しない限り、国民が副流煙により食道癌にかかるリスクはなくならない。

 

(注1) Elliot M, et. al. “Esophageal Cancer,” MSD Manual Professional Version