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薬としてのコーヒー

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適量なら薬、過剰摂取なら毒になる飲み物

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Photo: コーヒーの実

 

コーヒーの歴史

コーヒーがいつ頃から飲まれるようなったかは不明であるが、伝説は数世紀前エチオピアの高原から始まる。ヤギ飼いのカルディーがコーヒー豆の可能性を最初に発見したといわれている。

カルディーはヤギが木になっている実を食べると夜も眠らずに元気でいれることを発見した。この木の実こそがコーヒーの実であった。

カルディーはこの発見を近くの修道院の院長に伝えると、彼はコーヒーの木の実から飲み物を作り、これを飲んだところ気分が高揚して、長い時間、疲れること無く夕べの祈りを終えることが出来た。修道院長はこの飲み物を他の修道士に分け与えた。その後、この不思議な飲み物が修道院の外に広まった。

17世紀になると不思議な飲み物はヨーロパ全体に伝わり、人気の飲み物コーヒーになった。

しかし、一部の人々はこの新しい飲み物を「悪魔の苦い発明」として嫌った。

当時、ヨーロパでは朝食時にワインやビールが飲まれていた。ヨーロパの人々は、朝食にアルコールの代わりにコーヒーを飲むと、1日を元気に過ごせることがわかった。驚いたことに、仕事の能率が非常に向上した。

それ以降、コーヒーは人を元気にする飲み物として世界中で愛飲されるようになった(注1)。

薬としてのコーヒー

1日コーヒーを3杯飲むと健康に良い効果が得られる。

多くの研究から、コーヒーにはファイトケミカルを含んでいるため脳卒中やある種の癌の防止、パーキンソン病や認知症のリスクの低減、さらには集中力と記憶力を高める効果があることが明らかになった。

 

コーヒーによる健康への効果

  • コーヒーはアルツハイマー病やその他の認知症のリスクを低減させる。フロリダ大学の研究によると、40及び50歳代で1日3から5杯のコーヒー(カフェインレスを除く)を飲む習慣があると、70歳代でこれら認知症発症リスクが70%低減することが明らかになった(注2)。他の研究では高齢者が毎日カフェインを摂取すると、認知機能低下の速度が遅くなることが判明している。
  • 自殺のリスクを低減する。ハーバード大学の2013年の研究によると、コーヒーを毎日2から3杯飲んでいる人は自殺のリスクが45%低下することがわかった。カフェインが気分の高揚に作用していると推測されている(注3)。
  • 口腔、咽頭、食道癌の発症リスクの低減。東北大学の研究によると、コーヒーを多く摂取する高齢者はこれらの癌で死亡するリスクが50%低下した。飲酒、喫煙は口腔、咽頭、食道がんの強い危険因子だと考えられているが、飲酒者及び喫煙者でもコーヒーを多く摂取する人は口腔、咽頭、食道癌の発症リスクが低くなることがわかった(注4)。
  • 高齢女性の脳卒中リスクの低減。2011にスエーデンでの研究では毎日のコーヒー摂取で高齢女性の卒中発症率が20から25%低減しすることが判明した(注5)。
  • 長寿。米国で50歳から71歳まで40万人を対象にした10年にわたる研究結果からコーヒー常飲者は心臓病、呼吸器疾患、卒中、怪我、糖尿病、感染症での死亡リスクが低いことが判明している。
  • 癌予防。2010年のカリフォルニア大学の研究結果から、コーヒーは子宮癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌など多種の癌に予防効果があることが判明している(注6)。

コーヒーは気分を高揚させ、健康にも良い効果をもたらす。ただし、用量を守らないとコーヒーに含まれているカフェインが健康を損ねることを自覚しなければならない。

 

(注1) National Coffee Association of U.S.A., Inc. “The History of Coffee

(注2) Arendash GW, et. al, “Caffeine reverses cognitive impairment and decreases brain amyloid-beta levels in aged Alzheimer's disease mice

(注3) Marge Dwyer, et. al, “Coffee drinking tied to lower risk of suicide”, Harvard Gazette

(注4) 「コーヒー摂取と口腔、咽頭、食道がん発症リスクの関連について

:宮城県コホート研究」、東北大学大学院医学系研究科

(注5)  Larsson SC, et. al. “Coffee consumption and risk of stroke in women

(注6) Lenore Arab, “Epidemiologic Evidence on Coffee and Cancer Epidemiologic Evidence on Coffee and Cancer” 

参考資料:Candy Sagon, “Caffeine for Your Health — Too Good to Be True?