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閉塞性睡眠時無呼吸のシーパップ以外の治療法

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減量とシーパップで症状の軽減と合併症を防止する。

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Photo:  タニタ電子体重計

 

一般治療

睡眠姿勢と鼻の治療 - 閉塞性睡眠時無呼吸患者が背臥位(仰向け)で睡眠する場合、睡眠の姿勢を変えることで、シーパップ(持続陽圧呼吸療法)と同程度に無呼吸低呼吸指数(AHI)を低下させることができる(注1)。

慢性の鼻詰まりや鼻炎を点鼻ステロイド薬、塩水での鼻の洗浄、全身抗ヒスタミン点鼻薬により症状が緩和することもある。口腔咽頭専門医の診察により、鼻咽頭癌などの口腔咽頭疾患が見つかることがある。

 

減量 -  患者が肥満である場合は、減量が一次治療である。減量することで睡眠時の呼吸障害を軽減し、有害な代謝及び心血管の原因を取り除くことができる。

患者が非病的な肥満である場合、手術によらないで減量を行うと、減量を行わない患者と比較して閉塞性睡眠時無呼吸の症状が劇的に改善する。

 

手術

気管開口術 - 気管開口術は上気道閉塞の患部にバイパスして、病状を緩和し、血中のガス異常を改善する。

気管開口術は言語機能に支障が出るため、最も重症な患者やパップで治療できない低換気症候群患者に限定して行われる。

 

口蓋垂口蓋咽頭形成術 - 咽頭腔を広くするために口蓋垂又は口蓋組織を切除する手術であるが、満足する効果は得られていない(注2)。

患者の一次治療として口蓋垂口蓋咽頭形成術、高周波による口蓋又は舌(又は両方)組織切除、及びレーザ口蓋垂形成術などの外科手術は推奨されない。

 

薬剤療法

現在、閉塞性睡眠時無呼吸に対して有効な薬剤は存在しない。動脈血二酸化炭素分圧が正常な患者に対しては呼吸刺激薬の効果は認められていない。

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)はノンレム睡眠時では無呼吸指数を低減するが、レム睡眠では効果がない。

三環系抗鬱薬はレム睡眠を減らしてレム睡眠時での閉塞性睡眠時無呼吸を低減させる。副作用により使用は限定的である。閉経後の女性にはホルモンの補充療法により呼吸障害が軽減する。

 

予後

臨床研究から、重度の閉塞性睡眠時無呼吸患者や一時間あたり無呼吸低呼吸指数が1時間あたり30以上の患者では脳血管及び冠動脈疾患による死亡率が上昇することがわかっている。

重度の患者はシーパップを正しく使用すれば(1日6時間以上)、使用しない患者と比較して5年生存率が顕著に高くなる。更に、患者は健常者と比較して交通事故に合う可能性と死亡率が遥かに高い。

 

(注1)Skinner MA, et. al, ‘Efficacy of the “tennis ball technique” versus nCPAP in the management of position-dependent obstructive sleep apnoea syndrome,” Respirology 2008

(注2)Aurora RN, et. al. “Practice parameters for the surgical modifications of the upper airway for obstructive sleep apnea in adults”, Sleep. 2010