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タバコとアルコールの相乗効果で食道癌のリスクが高まる

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食道扁平上皮癌

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2020年東京オリンピックを控えて、厚生労働省は屋内完全禁煙を目指しているが、圧力団体(タバコ業界、飲食業、それに一部政治家)が猛烈に反対しているため、実現は不可能だと思われる。近くに喫煙者がいれば、受動喫煙は避けられない。受動喫煙により、肺のみならず、食道にも重大な影響が現れ、生死にかかわる問題を引き起こす。

 

食道と食道癌

食道は液体と固形食物を胃に送れるように蠕動運動を行う筒状の器官である。

食道粘膜は層化した扁平上皮で粘膜下組織及び筋層を覆っている。

食道の一番内側の粘膜は重層扁平上皮で覆われており、ここに生じる悪性腫瘍が食道扁平上皮癌で日本人の食道癌の90%以上はこの種類に属する。

 

疫学

食道扁平上皮癌は男性では癌による死亡の順位が高い。これは喫煙と飲酒が関係しているものと思われる。50歳未満では男女とも発症率は低く、加齢により増加する。

 

肺癌発症の主要リスク要因

肺癌は遺伝性と散発性に分類される。散発性の肺癌は加齢、環境、遺伝子変異により発症する。

食道扁平上皮癌の主要なリスク要因として喫煙と飲酒がある。これらが組み合わさると発症リスクが飛躍的に高くなる。タバコと酒に含まれているNニトロソ化合物、多環芳香族炭化水素、及び芳香族アミンなどの多種の化学発癌物質の相乗的に有害な影響を及ぼす。

1日タバコを25本以上喫煙すると、食道扁平上皮癌のリスクは6.2倍になる。しかし、禁煙を10年以上続けると、発癌リスクは低減する。

飲酒しながら喫煙を行うと発癌リスクは、酒の種類により10から25倍高くなる。

ビタミンA、B12、C、E、葉酸、及びミネラル(亜鉛、セレン、モリブデン)は直接又は間接的な抗酸化作用があり、これらが欠乏すると表皮及び組織のホメオスタシスと修復が害される。喫煙と飲酒に栄養状態の悪化が加わると最悪の事態になる。

 

食道癌の病理

食道扁平上皮癌は長い時間を経て正常な扁平上皮が異形成を経て癌化するものである。食道癌の発症、増殖、及び転移は多数の遺伝子変異が関係している。これらには上皮増殖因子受容体及びサイクリン(細胞周期の制御に関与するタンパク質)D1発癌遺伝子の過剰発現並びに腫瘍抑制遺伝子の不活性化が含まれる。