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食道運動障害とは

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食道括約筋が弛緩できなくなり、嚥下障害や誤嚥性肺炎が起こる。

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Photo:  舌圧子(口腔内や咽頭を見るとき、舌を押し下げるために用いるへら状の器具)

 

食道運動障害は口腔咽頭機能障害と噴門痙攣にわけられる。

 

口腔咽頭機能障害

食道の輪状咽頭部及び下部咽頭収縮部は横紋筋により構成され上部運動神経、脳幹、及び大脳皮質の支配を受けている。

筋疾患及び神経疾患のいずれも口腔咽頭機能障害を起こす。口腔咽頭嚥下障害で最も一般的な神経性の原因は脳血管障害である。

口腔咽頭の機能に影響を及ぼすこの他の神経疾患として重症筋無力症、脳幹腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ポリオ後症候群、ギラン・バレー症候群、及びボツリヌス中毒がある。

口腔咽頭機能障害を引き起こす筋疾患には腫瘍随伴性抗体症候群、甲状腺疾患、皮膚筋炎のような原発性筋疾患、及び薬剤性筋疾患がある。

口腔咽頭機能障害では嚥下障害、食後の咳、しわがれ声、誤嚥性肺炎が生じる。潜在的な筋疾患又は神経疾患の治療が必要のため、予後は悪い。

噴門痙攣(アカラシア)

噴門痙攣は典型的な食道運動障害であり、嚥下時に下食道括約筋が完全に弛緩せず、食道に蠕動運動が生じない。

 

疫学と病理学

噴門痙攣は全ての年代層で発症する。最も多い年代層は25歳から60歳である。米国に於ける有病率は10万人に対して10人であり、男女に発病の差は認められない。

この疾患は下食道括約筋における抗体性自己免疫腸管筋層神経叢症及び食道の一般神経症により生じる。

この疾患はウイルスにより引き起こされていると考えられている。下食道括約筋のニューロンが傷害し、酸化窒素が部分的に欠乏する。機能的抑制的神経伝達物質の欠乏により、括約筋が緊張状態になり、弛緩できなくなる。