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緊急高血圧症

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対応が遅れると臓器不全により死に至る。

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緊急高血圧症(高血圧性クリーゼ)は血圧が急上昇し、臓器不全が急激に進行する。心筋及び脳の虚血と梗塞、肺浮腫、及び腎不全を生じる。

緊急高血圧症では重度な症状なく血圧の急上昇や臓器不全の証拠なく血圧の急上昇が起こる。従って、血圧の絶対値ではなく、病態と臓器不全の評価が重要になる。

 

症状

緊急高血圧症では血圧が220/140mmHg以上に上昇し、頭痛、昏迷、目のかすみ、吐き気と嘔吐、発作、肺浮腫、乏尿症及びグレード3又は4の高血圧性網膜症が現れる。

緊急高血圧症になるとICUへの移送が必要になる。点滴治療と血圧管理を行う。外来で経口薬治療も可能であるが24から72時間の経過観察が必要。 

 

原因

緊急高血圧性心臓疾患として急性大動脈剥離、心臓手術後高血圧、急性心筋梗塞、不安定性狭心症がある。

その他の緊急高血圧症にはコカイン誘発性交感神経クリーゼ、子癇(妊娠中毒症で起こる痙攣発作)、頭部外傷、重度の火傷、血管縫合部からの術後出血、及び鼻腔タンポン挿入でコントロールできない鼻血がある。

 

治療

緊急高血圧症では、非経口治療を行い血圧を徐々に降下させる。治療開始1時間で血圧を10%降下させ、3から12時間で更に15%降下させて、160/110mmHg以下にする。

その後48時間で更に血圧降下が可能である。大動脈解離と血管縫合箇所からの術後の出血の場合は血圧は降下しない。

 

合併症

上昇した血圧を急激に低下させると脳、心臓、及び腎臓虚血が悪化するリスクが高まる。

慢性高血圧では、脳が自動的に血圧を正常値より高くリセットする。この自動調整により、重度の高血圧状態で組織の過灌流(脳内圧力の上昇)を防止するが、上昇した血圧が急激に降下すると、組織の虚血(脳虚血)が生じる。

冠動脈疾患患者では、拡張期血圧を過剰に低下させると急性心筋虚血又は梗塞が生じる。