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医学よもやま話

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胃食道逆流症にかかったら(その2)- 治療と予後

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プロトンポンプ阻害薬による長期の維持療法が必要となる場合は、症状を緩和に必要な最小用量に減薬する必要がある。

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Photo:  プロトンポンプ阻害薬オメプラール、アストラゼネカ

 

治療

アルコール、コーヒー、辛い食べ物、寝る前の食事はいずれも胃食道逆流の症状を悪化させるため、これらを避けることは生理学的には合理性がある。

夜、胸焼けが起こる患者は枕を高くして眠ることも同様に合理的。

肥満と胃食道逆流に関連があるので、患者が肥満である場合は、胃食道逆流の治療の一部として減量が必要。

胃食道逆流の治療法の中心は胃酸分泌の抑制である。プロトンポンプ阻害薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が使用される。食道炎の治癒と胃食道逆流の症状の緩和にはプロトンポンプ阻害薬がH2ブロッカーより優れている(注1)。

胃食道逆流が慢性化した場合は、プロトンポンプ阻害薬による長期の維持療法を行い、症状の緩和に必要な最小用量に減薬する必要がある。

胃食道逆流疾患の食道外の症候として咳、逆流性喉頭炎、及び喘息が現れることがあるが、これらの症状に対するプロトンポンプ阻害薬の効果は一部の患者に限定されている。

プロトンポンプ阻害薬の副作用

プロトンポンプ阻害薬は安全な胃食道逆流疾患治療薬であるが、頭痛や腹痛の副作用が短期間、現れることがある。近年行われた疫学調査によればプロトンポンプ阻害薬を長期服用するとクロストリジウム・ディフィシル感染症、コミュニティ肺炎、股関節骨折、及びビタミンB12欠乏症のリスクが高くなることが判明している。

 

H2ブロッカーの用途

短期の症状緩和や長期の治療においてプロトンポンプ阻害薬がH2ブロッカーより優れているが、H2ブロッカーはプロトンポンプ阻害薬に不耐性の患者に使用され、さらに症状が持続する場合プロトンポンプ阻害薬を補うために就寝時に使用される(注2)。

 

逆流防止外科手術

食道炎があり、プロトンポンプ阻害薬に不耐性がある場合は、逆流防止外科手術も選択肢である。腹腔鏡下胃底皺襞(すうへき)形成術はプロトンポンプ阻害薬と同等の成果が得られる。しかし、手術には様々な重大なな合併症が現れるため、日常生活に多大な影響を及ぼす恐れがある。副作用として嚥下障害、迷走神経障害、ガスによる鼓腸、及び下痢が生じることがある。(注3)

 

予後

胃食道逆流疾患の患者は従来の対症的逆流対策とプロトンポンプ阻害薬で症状の軽減が図られている。

 

(注1)  Khan M, Santana J, et al., “Medical treatments in the short term management of reflux oesophagitis,” Cochrane Database Syst Rev.

(注2)  Wang Y, Pan T, et al., “Additional bedtime H2-receptor antagonist for the control of nocturnal gastric acid breakthrough,” Cochrane Database Syst Rev.

(注3)  Lundell L, et al, “Seven-year follow-up of a randomized clinical trial comparing proton-pump inhibition with surgical therapy for reflux oesophagitis,” Br J Surg.