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高血圧治療薬としての利尿薬

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利尿剤は最も古く、安価で、最も効果のある高血圧抑制薬である。

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photo:  ループ系利尿薬トルセミド

 

作用機序

利尿剤による治療を開始することにより、血液量が減少して血圧が降下する。治療を継続すると、血液量は元に戻るが、血管拡張メカニズムにより高血圧抑制作用を維持する。ループ系利尿薬はヘンレ係蹄の太い上行脚のNa+/K-+/2Cl-共輸送体を阻害し、濾過された大部分のナトリウムの再吸収を抑制する。

サイアザイド系利尿薬は遠位曲尿細管のNa+/Cl-共輸送体を阻害し、濾過された一部のナトリウムの再吸収を抑制する。

 

治療原則

利尿剤は最も古く、安価で、最も効果のある高血圧抑制薬である。心臓発作防止のための高血圧抑制及び脂質降下治療の臨床研究(ALLHAT)で、サイアザイド系利尿薬クロルサリドンは少なくとも新しく、高価な薬剤(ACE阻害薬など)と比較して血圧降下や心血管疾患防止に少なくとも同等な効果があることが判明した(文献1)。

利尿薬を他のクラスの高血圧抑制薬と組み合わせて服用すると、血圧降下に相乗効果が現れる。薬物耐性高血圧が起こる最も多い原因は治療に利尿薬を使用しないか適量を使用しないことによる。

サイアザイド系利尿薬の半減期は長いので、高血圧患者にとっては効果の持続時間の短いループ系利尿薬より高い効果が得られる。

ループ系利尿薬は慢性腎臓疾患又は心臓疾患の患者のための高血圧治療薬である。ループ系利尿薬フロセミドの効果は6時間以下のため、長い効果のあるループ系利尿薬トルセミドが好まれている。サイアザイド系利尿薬クロルサリドンをループ系利尿薬と組み合わせることにより、慢性腎臓疾患のために血液量が増大した難治性高血圧患者に効果がある。

サイアザイド系利尿薬はグルコース不耐性を悪化させ(特にベータブロッカーと併用したとき)、低カルシウム血症及び低ナトリウム血症を引き起こす(特に高齢者)、痛風を誘発し、血漿脂質を上昇させ、稀に重度の光過敏性皮膚炎を引き起こす。これらの薬剤はEDを引き起こす恐れもある。

 

(文献1)The ALLHAT Officers and Coordinators for the ALLHAT Collaborative Research Group. The major outcomes in high-risk hypertensive patients randomized to angiotensin-converting enzyme inhibitor or calcium channel blocker vs. diuretic: the Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT).