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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

前頭側頭葉変性症になると

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前頭側頭型認知症、非流暢失語症、名称失語症、意味的認知症などを発症。

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症状

前頭側頭葉変性症が進行すると、患者によっては広範な認知障害が起こる。

 

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症では症状は徐々に現れる。早期の症状として無関心、積極性の欠如、及び感情鈍麻が一般的である。疾患が進行すると、前頭葉及び側頭葉前部の変性により患者に行動の変化が現れる。

 

認知検査を行うと、患者は記憶能力を維持していても、実行認知機能に障害があることがわかる。前頭側頭型認知症が中度又は重度になると、患者の行動には大きな変化があるが、アルツハイマー病などの他の認知症との区別が困難になる。患者の神経細胞核のタウ・タンパク質とTDP-43タンパク質は共に陽性である。

 

患者によっては運動ニューロン疾患の徴候と症状が現れる。四肢又は延髄筋系で脱力感、萎縮、及び繊維束形成などが生じる。患者によっては非対称性四肢行動不能症が大脳皮質基底核症候群として起こる。更に、進行性核上麻痺が現れることもある。

 

非流暢失語症

非流暢失語症では、患者は会話で言葉の選択がうまくできず、聞き手は患者の話が理解できない。

 

名称失語症

名称失語症は初期の徴候であり、患者の会話は徐々に単調になり、不自然になる。最終的に、流暢さがなくなり、文法を無視した話し方になってしまう。患者によっては記憶や視空間機能が維持されていても、最終的には話すことができなくなる。患者の神経細胞核のタウ・タンパク質は多くの場合、陽性である。

 

非流暢失語症や名称失語症の患者では他の認知機能障害は起こらない。

 

意味的認知症

意味的認知症は単語又は物の意味が消滅する障害である。患者によっては物の知識(物失認)及び人の顔(相貌失認症)にアクセスできなくなる。患者は単語の意味の知識が薄れていても、一連の単語を学ぶ能力は維持している。患者の神経細胞核のTDP-43タンパク質は陽性である。

 

診断

前頭側頭葉変性症は前頭側頭型認知症又は多種の失語症のような特有の臨床症状に基づいて診断される。

 

神経精神テストにより実行機能の異常を見つけ出し、記憶機能が維持されているかを調べて、前頭側頭葉変性症を診断することができる。

 

前頭側頭葉変性症の診断では、MRIにより前頭葉又は側頭葉の局在的萎縮を調べることができる。

 

診断が確定できず、MRIが使用できないときは、検査薬18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)を使用したPET画像診断を行う。

 

治療

現在、前頭側頭葉変性症の症状を抑えるための治療法は見つかっていない。動揺、偏執症、幻覚、妄想、又は強迫行動のある患者には、抗精神病薬が使用されることもあるが、効果は限定的である。また、前頭側頭葉変性症の予防的治療方法もまだ見つかっていない。

 

予後

前頭側頭葉変性症の経過と予後は病態により大きく相違する。運動ニューロンに関係する障害のある患者の予後は悪く、診断からの余命は約2年である。意味的認知症患者や非流暢失語症患者には長い余命があり、余命10年以上の患者もいる。前頭側頭型認知症患者には、より長い余命がある。

 

現在、前頭側頭葉変性症患者のために、タウ・タンパク質の変性を遅らせたり、防止可能な薬剤の開発が進められている。