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意識障害の比較 ― 昏睡、植物状態、及び脳死

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脳が低酸素虚血障害により不可逆損傷を受けると患者は植物状態または脳死に至る

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脳死、昏睡、植物状態、最小意識状態、及び閉じ込め症候群はそれぞれ意識障害として区別される。

 

人の意識は2つの脳神経系検査項目で判定される。

1番目が覚醒していること。これは内外の刺激に対する生体の覚醒と準備であり脳幹網様体と視床及び前脳上行性投射路により行われる。

2番目が自己と環境の意識である。これは視床皮質と皮質―皮質回路の拡散並列網により行われる。

 

覚醒していることは意識の前提であるが、植物人間状態の患者のように、覚醒していても意識が失われていることもある。

 

意識は脳全体の機能により作られている。限局的な脳半球傷害は意識の一部の働きを損ね、失語症、行動不能症、又は認知不能症などの障害が現れる。言語、習慣、及び直感は通常の意識の要素であるが、それらの一部の喪失は意識の低下にはつながならないため、限局性障害は意識障害には含まれない。

 

意識障害の比較

 

 

意識

覚醒

脳幹・呼吸

運動

脳波 

誘発電位

PET/fMRI

脳死

なし

なし

なし

なし

無脳波

なし

皮質代謝なし

昏睡

なし

なし

低下、変化

反射運動、見かけ

多形性デルタ、群発抑制

聴性脳幹反応変化、皮質事象関連電位なし

安静時50%未満

植物状態

なし

あり、睡眠覚醒サイクル

あり

反射運動、無意識

デルタ、シータ、無脳波

聴性脳幹反応保持、皮質事象関連電位変化

安静時50%未満、主要領域刺激あり

最小意識状態

あり、弱い反応

あり

あり

意識的運動

不特定徐波

聴性脳幹反応保持、皮質事象関連電位保持

低下、2次領域刺激あり

閉じ込め症候群

あり、会話不能

あり

あり、脳幹徴候

四肢麻痺、仮性麻痺

正常

皮質事象関連電位変化、皮質事象関連電位正常

正常又はほぼ正常