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医学よもやま話

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ニューロンの機能は不滅

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ニューロンは長い年月生きつづけることができるので、人は学習を行い、記憶を生涯保持することができる

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ニューロンの運命

ニューロンは生まれる前から運命が定まっている。ニューロンの脳内での役割がプログラムされており、さらに連携して機能する。

 

ニューロンは時に損傷により死滅することがあるが、ニューロンが新たに作られることはほとんどない。正常のニューロンは死滅したニューロンを補完する役割がある。

 

ニューロンの成長

ニューロンは前駆細胞から分裂し成長する。完成すると、成長は止まる。このプロセスの大部分は母体の子宮で行われる。脳の一部は誕生後非常に短い期間で成長が止まる。新生児が生まれるとき、運動と体のバランスを司る小脳はまだ完全には出来上がっていない。生まれてから、小脳が成長して新生児は運動出来るようになる。そのため、新生児が動けるようになるのに時間がかかる。

 

細胞死

すべての細胞には自殺機能があり、この機能が働くと細胞は死滅する。細胞死はこのプログラムされている。体内のほとんどの器官の細胞は古くなったり、有害になると自殺し、新しい細胞と入れ替わる。

ニューロンは死なない

しかし、ニューロンでは状況が異なる。ニューロンが完全に成長すると、細胞死の経路は完全に閉じられ、成長したニューロンは自殺しなくなる。

 

ニューロン以外の細胞は絶えず入れ替わり、長期間生き続けることはできない。これに対してニューロンは長く生き続けるためのメカニズムを備えている。

 

細胞死制御タンパク質Bax

細胞死を制御するBaxタンパク質がすべての細胞に存在する。このタンパク質は、時期が来るまで休止状態である。これに対して、ニューロンはこのタンパク質をブロックすることにより長く生き続けることができる。

 

ニューロンが細胞死を免れるメカニズムと癌細胞のメカニズムの関連性の研究が進められている。ニューロンが長く生き続けるメカニズムを分裂する細胞に組み合わせることができれば、癌の増殖が抑えられる。

 

ニューロンが細胞死を免れるメカニズムを研究することにより癌細胞が増殖するメカニズムを知ることができる。

 

内的要因によるニューロンの死

ニューロンは細胞死を免れるメカニズムを備えていても、死ぬ場合がある。人は生まれる前から、多くのニューロンが死滅している。ある研究によると、作られたユーロンの約半数は発育段階で死滅している。

 

脳は非常に複雑な器官で、完璧に機能させるために、必要以上のニューロンが作られる。

 

ニューロンの前駆体が全てが生き残ることができると、前駆体やニューロンが増加して、脳が巨大になり、胎児は生まれてくることができなくなる。

 

末梢神経系では余分なニューロンは死滅させている。中枢神経系には非常に多くのニューロンやタンパク質があるため、これらの死滅を管理することは困難である。

 

発育途上の脳では細胞死を制御する遺伝子を取り除くことにより神経を死滅させている。

外的要因によるニューロンの死

ニューロンは脳の傷害や疾患で死滅する。卒中では血流が遮断され酸素とグルコースが供給されなくなり、ニューロンは死滅する。

 

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患では、神経細胞が損傷を受ける。パーキンソン病では遺伝子変異により損傷を受けたミトコンドリアが除去できなくなり発症する。

 

筋萎縮性側索硬化症では脊髄の運動ニューロンが機能しなくなる。パーキンソン病では情報を伝え、運動を制御するニューロンが攻撃をうけ、この病気の顕著な症状である震えが現れる。アルツハイマー病では学習や記憶に関係するニューロンが失われる。筋萎縮性側索硬化症ではSOD1酵素がクロットとして運動ニューロン集まる。

 

アルツハイマー病ではアミロイドβタンパク質が神経細胞の周りに膜状のプラークとして蓄積する。

 

これらの疾患では、ニューロンは直ちに死滅せず、徐々に機能しなくなる。

 

新しくニューロンが作られる

これまで、人間は2歳を過ぎると脳で新しいニューロンが作られなくなると考えられてきた。しかし最近の研究から一部の領域では新たにニューロンが作られている可能性が見つかっている。その領域は学習と記憶を司る海馬である。

 

ニューロンの信頼性

他の領域では、人が生まれる前に作られたニューロンの信頼性が重要であるためニューロンは新たに作られない。安定的に、長い年月生き続けるニューロンにより人は学習を行い、記憶を生涯保持することができる。

 

ニューロンのバックアップ機能

脳では新しくニューロンを作る機能は非常に制限されているが、ニューロンには脳を保護する特別な機能が備わっている。脳の一部のニューロンが機能しなくなったとき、正常なニューロンが代わりに機能することが知られている。