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医学よもやま話

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アスベスト暴露と悪性中皮腫発症

癌予防 癌検査

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アスベストを吸い込むと、人生の後半で突然死の宣告を受ける

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credit:  アスベスト、医薬品管理センター

 

疫学と病理学

悪性中皮腫は体腔漿膜に生じる癌である。中皮腫の80%は胸膜腔に生じ、次いで腹膜に多く生じる。患者は通常55歳以上で、遠い昔(30から40年昔)にアスベストに暴露した経験がある。喫煙は中皮腫のリスク要因ではないが、喫煙者がアスベストを暴露すると肺癌のリスクが高くなる。中皮腫発症のリスクとして更に放射線被曝及びSV40ウイルス感染が考えられる。

中皮腫罹患率は男性が女性の5倍以上である。

厚生労働省の統計によると2014年の全国における中皮腫による死亡者数は1376名に達しているが、1975年以降、アスベストの規制が厳しくなっているため、死亡者数は減少に転じている。日本では1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2004年に石綿を1%以上含む製品の出荷が禁止、2006年には同基準が0.1%以上へと改定されている。

臨床症状と診断

中皮腫患者には呼吸困難、体重減少、及び胸の痛みが現れる。

悪性中皮腫は半胸郭全体に広がる腫瘍又は胸膜滲出液として現れる。胸部CTスキャンにより限局性又は周囲の胸膜腫脹及び石灰化した胸膜斑が検出される。腹腔鏡を使用すれば、CTスキャンより高精度に中皮腫が検出できる。着色や生検組織の電子顕微鏡検査と共に胸膜液のヒアルロン酸濃度にもとづいて中皮腫を転移性腺癌と区別することができる。

中皮腫の一部は良性である。良性の中皮腫は大きく、有茎である。

 

治療と予後

現在、悪性中皮腫の効果的な治療法は存在しない。診断時における平均余命は8から12ヶ月である。胸膜癒着術及び胸膜切除術により症状及び胸膜滲出を軽減することができる。患者の中皮腫が限局性で共存症がなければ、中皮腫の切除または根治的胸膜肺切除術を行うことができる。症状軽減及び手術後に放射線療法が行われる。