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医学よもやま話

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非小細胞肺癌の治療

癌治療

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将来の非小細胞肺癌の治療はゲノム情報、薬理反応、及びプロテオミクスに基づいて治療が行われる

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image:  Surgical Knives

 

ステージI及びII

ステージIとIIの非小細胞肺癌における最初の治療は癌切除。手術前に、努力呼気肺活量、肺拡散能力、及び血液ガスを調べる。

努力呼気肺活量と肺拡散能力の検査結果により手術が安全に行われるか否かが決まる。努力呼気肺活量が予想量の40%未満で、肺拡散能力が正常値の40%未満の場合、患者は手術により死亡する可能性がある。

患者が安全に手術を受けるためには更に運動耐容能があり、共存症にかかっていないことが重要である。手術による根治可能性は肺癌のステージと完全癌切除により決まる。

腫瘍の肺区域切除では再発リスクが高い。肺葉切除と肺切除の死亡率はそれぞれ3%と9%である。70歳以上の患者では肺切除による死亡率は16%から25%と高い。

非小細胞肺癌でステージIの患者で手術ができない場合や共存症がある場合は、定位性放射線療法で治療を受ける。この療法は副作用が少なく、癌の増殖や転移が抑制できる。

腫瘍切除とともに、縦隔リンパ節を完全に切除する。腫瘍が胸膜又は対側縦隔リンパ節に転移している場合や縦隔、心臓、心臓につながる血管などに浸潤がある場合は、腫瘍は切除できない。

多剤補助化学療法によりステージI及びIIの患者の5年生存率が若干上昇する。

ステージIとIIでは、補助放射線療法を行わない。手術ができない非小細胞肺癌ステージIの患者では放射線療法が可能であるが、5年生存率は10%から30%と低い。

ステージIII(切除可能な場合)

ステージIIIで切除可能な患者では、不顕性転移があるため、放射線療法と共に新補助化学療法(誘導化学療法)により生存率を向上させる。化学療法と放射線療法を併用させると副作用として、重度の食道炎が生じる。

 

ステージIII(切除不可能な場合)

ステージIIIAまたはIIIBの場合は手術が行えない。胸部放射線療法により胸の症状が緩和するが、誘導化学療法を併用しなければ5年生存率は高くならない。併用することにより余命が10から14ヶ月延び、5年生存率は7%から19%に上昇。

化学療法と放射線療法を併用することにより、局所で進行した非小細胞肺癌

患者の生存率は上昇するが、副作用として、重度の食道炎が現れる。3次元放射線療法を使用することにより高線量を原発腫瘍や隣接リンパ節へ照射して、治療効果を高めることが可能。

 

ステージIV(播種性転移)

播種性非小細胞肺癌患者は、多剤併用化学療法を受ける。化学療法による効果は20%から50%で、余命は8から10ヶ月。臨床研究によれば2剤の併用化学療法は1剤の化学療法より効果があるが、3剤の併用療法は2剤の併用療法より高くはない。多剤併用化学療法を4から5サイクル行う。

過去10年で、播種性非小細胞肺癌の治療方法としてオーダーメイド療法が採用され、治療は組織学的分類(非扁平上皮癌か扁平上皮癌)及びEGFR遺伝子変異分析に基づいて行われている。

非扁平上皮非小細胞肺癌患者は癌血管新生阻害薬を他の薬剤と併用することにより治療効果の向上、癌の進行抑制、延命が可能である。

孤立性転移患者では転移巣切除により生存率が向上する。孤立性脳転移病巣切除後、転移巣に放射線を照射することにより、5年生存率が20%に上昇する。転移性非小細胞肺癌患者は気管支閉塞、上大静脈症候群、骨の痛み、脳腫瘍、及び脊髄圧迫を引き起こす病変に対して放射線療法で症状の緩和が可能。早期の緩和療法により、延命や生活の質の改善が期待できる。

近い将来、非扁平上皮癌患者はゲノム情報、薬理反応、及びプロテオミクスに基づいて治療が行われる。