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良性乳房疾患

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良性乳房疾患と診断されても、時間の経過で乳癌に変化することがある

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良性乳房疾患には乳房痛(痛みと圧痛)、乳腺炎(感染性と非感染性炎症)、外傷、及び良性腫瘍がある。乳房痛は乳房外に原因がある場合があり、心筋虚血、肺炎、胸膜炎症、食道痙攣、肋軟骨炎、肋骨骨折、及び水痘帯状疱疹ウイルスの可能性がある。

 

乳房痛

乳房痛は自然治癒する良性の疾患である。この疾患は周期的又は非周期で現れることがある(ホルモンが関係している)。またホルモン補充療法を受けていなくとも、閉経後の女性に現れる。

乳腺炎

乳腺炎は乳房の炎症又は感染により生じる。非授乳女性や授乳女性のいづれも発症する。非授乳女性では40歳代で罹りやすく、最初に乳房に強い痛みがでる。その後、乳輪部に紅斑や浮腫が現れる。

乳腺炎の原因は拡張した乳輪下乳管の破裂による炎症である。乳管内容物が乳管周囲組織へ漏出する。診断において、疾患原因として感染を排除できないため、患者には局所用抗生剤が処方される。症状が7から10日で消えなければ、超音波検査で、膿瘍の可能性を調べる。

膿瘍の場合は、切開と排液が必要である。乳腺炎は炎症性乳癌と区別が困難であるため、抗生剤で治癒しないとき又は膿瘍が検出できないときは、乳腺外科医の診断が必要となる。

授乳女性が乳腺炎にかかる原因として、乳頭の皮膚の破れ又は母乳停滞による感染が考えられる。治療方法として抗生剤投与と母乳の排液が必要。

 

非増殖性良性乳房疾患

非増殖性良性乳房疾患には炎症性脂肪壊死、リンパ性乳腺炎、肉芽腫性乳腺炎がある。

炎症性脂肪壊死は手術又は鈍器による創傷により起こり、時間がかかるが自然治癒する。リンパ性乳腺炎は糖尿病患者に生じる。肉芽腫性乳腺炎は乳房内に埋め込まれたインプラント(豊胸手術または乳癌摘出後の乳房再建術で使用されたシリコン又はパラフィン)、類肉腫、又は感染により発症する。

 

腫瘍様非増殖性良性乳房疾患

腫瘍様の非増殖性良性乳房疾患には繊維腺腫、葉状腫瘍、乳管内乳頭腫、線維嚢胞性乳房疾患、及び単純又は複雑嚢胞がある。

繊維腺腫は一般的で(女性の25%で現れる)、孤立性、明確な区画の現れる疾患である。乳管内乳頭腫は孤立した疾患で乳頭からの出血を伴う。線維嚢胞性乳房疾患は線維嚢胞症であり石灰化と炎症を伴う。単純又は複雑嚢胞は超音波誘導下細胞診が必要。

 

増殖性良性乳房疾患

増殖性良性乳房疾患には乳管過形成及び小葉過形成がある。非定型性過形成は乳癌のリスクが高くなる。

良性乳房疾患からの乳癌リスク

マンモグラフィ検査の普及により乳房生検が行われ、良性の乳房疾患所見が増加している。良性の乳房疾患では非増殖性病変、不定型でない増殖性病変、及び不定型性過形成病変の順に乳癌リスクが高くなる。

生検により良性の乳房疾患と診断された患者の乳癌リスクは一般女性と比較して1.5から1.6倍となる。米国で行われた臨床研究では、良性乳房疾患と診断された9087名の患者で、15年経過した後、707名が乳癌を発症した。

乳癌のリスクは最初の生検から25年以上存続する。3種類の乳房疾患で、非定型性過形成病変では4.24倍、非定型性でない増殖性病変では1.88倍、非増殖性病変では1.27倍になることが判明している。