読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

転移性乳癌の治療

advertisement

癌の治癒から、症状の緩和、患者の生活を支持する療法への移行

****

f:id:tpspi:20170226073955g:plain

ホルモン療法

転移性乳癌で最初に行われる治療がホルモン療法。ホルモン療法は良好な臨床実績をあげている。

ホルモン療法を受けるためには癌細胞のホルモン受容体が陽性であること、長い無病期間があること、内臓疾患の症状が現れていないことが必要である。これら条件に適合する患者の半数で治療効果が現れる。ホルモン療法の効果持続期間は平均9から12ヶ月。

1番目のホルモン治療薬が効かなくなったら、2番目のホルモン治療薬を使用する。2番目のホルモン治療薬の効果と持続期間は1番目の薬より低く短い。2番目のホルモン治療薬が効かなくなったら、3番目のホルモン治療薬を使用する。

ホルモン治療薬を順に使用することにより毒性を低めて数年間患者の治療を行うことができる。

ホルモン治療薬として多種類の製品が使用可能。効果、毒性、及び閉経状態により適切な治療薬を選択する。治療薬は1種類ずつ投与する。複数の種類のホルモン治療薬を併用しても治療効果の向上は期待できない。

化学療法

ホルモン療法を継続していると、ある時点で効果がなくなる。このとき、患者の症状を緩和するための化学療法に切り替える。

投薬方法として、連続投薬の場合と休薬期間を設ける場合があるが、臨床研究によれば患者の生存期間は同等であったが、患者の生活の質は連続投薬が休薬がある場合より優れていることが判明している。

乳癌に効果のある化学療法薬は多種類あり、これらの薬剤は単独でも組み合わせて使用することもできる。

複数の化学療法薬を併用する場合は、1から2週間の周期で薬の種類を変え、さらに休薬する週を決め、乳癌の進行状況や症状の改善状況を調べ、薬の用量を変更しながら治療をすすめる。このサイクルを数回繰り返す。

治療期間は患者の薬の効果により変化する。

ホルモン療法と同様に、同じ薬剤を投与し続けると効果が低下してくる。そこで、2番目の化学療法を単独、複数、休薬を組み合わせて行う。3番目の化学療法を行って、効果が現れなくなったら、癌の治療から患者の生活の質に重点を置いた支持療法に切り替える。

 

腫瘍フレア

新しいホルモン療法で効果が現れるまでに数ヶ月かかる。治療の最初の数週間で、症状が悪化して、体内をめぐる腫瘍マーカが増大することがある。この症状は腫瘍フレアとよばれ、癌の進行と混同されやすが、短期間で収まる。

 

分子標的薬

乳癌の生物学的特性の研究によりエストロゲン受容体経路を超えた治療標的が判明している。最初に実用化された薬剤は単クローン抗体であるトラスツズマブで経皮HER2/neuタンパク質に作用する。

トラスツズマブを転移性のHER2過剰発現の乳癌患者に投与すると30%で腫瘍が部分的、又は完全に縮小する。

腫瘍の血管新生を遮断する治療法も行われている。この薬剤としてベバシズマブは癌の増殖を促す血管内皮細胞増殖因子 (VEGF) を標的とする。この薬剤は転移性乳癌の単一療法で効果があるが、ステージIVの乳癌患者にタクサンによる化学療法と併用することにより癌が進行することなく生存率が向上できる。