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初期乳癌補助全身療法としてのホルモン療法

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潜伏している微小転移の治療

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image: ホルモン療法薬タモキシフェン

 

初期乳癌の全身療法

補助全身療法は潜伏している微小転移癌を抑制又は死滅させる治療法。化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、及びこれらを組み合わせであり、初期乳癌の局所療法後に行われる。

微小転移を特定する検査方法は確立されていないため、患者の閉経状態、リンパ管の状態、腫瘍の大きさ、及び乳癌細胞のエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロ受容体(PR)、及びヒト上皮成長因子受容体(HER2)タンパク質の発現状態に基いて補助全身療法が行われる。

現在使用されている治療法は長期に渡る臨床試験結果から得られており、補助全身療法により乳癌の再発リスクの低減が判明している。

 

ホルモン療法

ホルモン療法では、通常タモキシフェンが使用される。ERまたはPR陽性の乳癌患者の癌再発を抑制する。副作用として血栓塞栓症があり。閉経後の女性ではエストロゲンの作用により子宮癌のリスクがある。

ホルモン療法の利点として骨密度の増加とコレステロール値の低下がある。

閉経前の女性では卵巣機能抑制又は卵巣摘出が行われ、エストロゲン遮断が行われる。閉経後の女性ではアロマターゼ遮断が行われる。卵巣摘出は外科手術又は放射線療法で行われ、乳癌の全身療法としては最も古い治療法である。

ホルモン療法は長期間継続する必要がある。補助ホルモン療法を5年以上継続すれば良好な成果が得られることが判明している。

アロマターゼ遮断薬

閉経後の女性のエストロゲンの主要な供給源はCYP19遺伝子又は乳腺及び脂肪組織などにおけるアロマターゼの働きによるもので、副腎により合成されたアンドロゲンをエストロゲンに変換して行われる。アロマターゼ遮断薬はこの変換を遮断するため、高齢の女性のエストロゲンを低下させる。

アロマターゼ遮断薬はタモキシフェン以上の効果があるが、副作用は軽度である。

アロマターゼ遮断薬はステロイド受容体が陰性の浸潤性乳癌患者にも推奨されている。副作用として閉経症候群、骨粗鬆症、骨折、及び関節痛などがある。しかし、アロマターゼ遮断薬は受容体陰性の乳癌患者では効果がない。

 

LHRH

近年、一時的で可逆的な卵巣機能抑制を行うために黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作用薬が使用されている。

初期の乳癌患者で癌細胞のERが陽性である場合のLHRH作用薬の効力として、単独療法で効果があり、化学療法と同等の効果をもち、閉経後の高齢者より40歳未満の若い女性において補助化学療法の効力の増加が期待できる。