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乳癌のための補助放射線療法

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手術で取り除けない癌細胞を放射線で死滅させる

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credit:  放射線治療装置、Normal Noble, Inc.

 

補助放射線療法

腫瘍を摘出しても、癌細胞が潜んでいる場合がある。これら目に見えない癌細胞を死滅させるために行うのが補助放射線療法である。

 

補助放射線療法の効果

乳癌患者で乳腺腫瘍摘出術のみを受けた場合の乳癌再発リスクは40%であるが、放射線療法を併用すると再発リスクは10%未満に低減する。(注1)

乳房温存療法を受ける場合は、放射線療法は必要不可欠である。

 

放射線治療が不要な患者

放射線治療を受ける必要がない患者を特定する研究が行われている。

一例として、エストロゲン受容体αが陽性の小さな腫瘍を有し、70歳以上で、タモキシフェン(抗悪性腫瘍剤)を服用している患者では放射線治療が不要であることが臨床研究により確認されている。

 

最新の放射線療法

最新の放射線療法の研究では、安全に効果的に限られた領域(乳房部分放射線治療)への照射や短時間の照射に重点が移っている。時間的な精度を向上させた4次元放射線治療により癌細胞のみを標的にする。これにより、放射線量を増加して癌細胞をより効果的に死滅させ、照射時間の短縮、及び正常な細胞への毒性を低下させることができる。

乳房切除術後の放射線治療効果

乳房切除術後の放射線治療効果については結論が出ていない。多くの調査結果から腋窩リンパ節の3個以上に癌細胞がある患者については術後の放射線治療が推奨されているが、それ以下の患者では判断が分かれている。

 

注1“Effects of radiotherapy and of differences in the extent of surgery for early breast cancer on local recurrence and 15-year survival” by Clarke M, Collins R, Darby S, et al., an overview of the randomised trials for the Early Breast Cancer Trialists’Collaborative Group (EBCTCG). Lancet, 366. 2005: 2087-2106.