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医学よもやま話

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乳房再建術で予期できない副作用が現れる

外科 癌治療

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再建した乳房は無感覚になる

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乳癌治療

乳癌を発症したり、遺伝子検査で乳癌のリスクがある場合は、乳房を失うことになる。患者は喪失感に苛まれることになる。近年、外科手術が飛躍的向上し、切除した乳房とほぼ同じ形状で乳房を再建することが可能になった。日本では2012年より保険適用になり、患者は低い費用で乳房を取り戻すことが出来る。

 

再建術の副作用

患者は、美しい形の乳房は取り戻せても、乳房の感覚が失ってしまう。熱さや寒さの感覚や発疹によるかゆみ、ドアにぶつけたときの痛みさえ感じなくなる。

 

乳房再建術で出来ること

米国では2015年に106,000人の患者に乳房再建術が行われた。2000年から35%の増加である。手術では最新の外科手術法により自然な形状の乳房が取り戻せ、見た目と手による感触は実物と変わらない。最新の手術法では患者の腹部の皮下脂肪を使用して乳房を作る。乳首を温存し、切り目を小さくして傷跡を最小にする。大きく、硬く、ピンと張った乳房が患者に提供される。

インフォームドコンセントの欠如

医師は患者に対して再建した乳房は以前より美しくなると説明するが、手術による副作用については明確にしない。患者は乳房の感覚や性的興奮を失うことを知らされない。

 

患者の乳房の感覚

乳房再建手術で得られた乳房を感じるのは、患者ではなく他人である。

現在の乳房再建術では患者は再建した乳房を感じることが出来ない。

 

乳首温存式予防的両乳房切除術

米国の女優のアンジェリーナ・ジョリーは乳首温存による予防的両乳房切除術を受けた(ニューヨーク・タイムズ紙2013-5-15)。彼女にならい、乳癌発症のリスクのある多くの女性が手術を受けている。しかし、乳首温存術は完全なものではい。患者は乳房の感覚を取り戻すことが出来ない。

 

感覚喪失によるリスク

感覚の喪失は傷害につながる。電気毛布、ヘアードライヤー、電気カール、日光浴、及び熱いシャワーで乳房が火傷する。ブラジャーにより乳房が傷く。水着やTシャツを着たとき、乳房が露出しても気づかない。料理をしているとき、加熱している材料が乳房に触れて火傷する。乳房の位置が分からなくなる。

 

乳房再建術の限界

乳房切除後に乳房の感覚を取り戻すためには乳房にインプラントを詰め込むのではなく患者自身の組織を使用する必要がある。この術式でも限定的な効果しか得られない、感覚が戻っても、圧力を感じるだけで、触感、温度、及び性的興奮は得られない。

再建した乳房に神経をつなげることができれば、患者は感覚を取り戻すことが出来る。しかし、この手術は非常に困難である。

結局、現在の乳房再建術では乳房を美しく見せることは出来ても、乳房を患者に感じさせることは出来ない。

乳房切除術で神経を温存でき、感覚が取り戻せた場合は、痛みの問題が生じる。

 

参考資料:”After Mastectomies, an Unexpected Blow: Numb New Breasts” by Roni Caryn Rabin, New York Times 2017-1-29