読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

腹膜炎 ― 原因と治療のスピードにより致死率が大きく異る

外科

advertisement

腹膜炎が疑われるときは、患者を専門医療スタッフと設備の整った医療機関に救急搬送しなければ、命に関わる。

 ****

f:id:tpspi:20170128132514g:plain

credit:  Doctor Helicopter, Kojinkai

****

 

腹膜炎の分類

腹膜はなめらかな漿膜で腹腔及び骨盤腔を覆っている。腹膜で最も多い臨床上の疾患は腹水症と腹膜炎である。腹膜炎は大きく急性と慢性、敗血症性と非敗血症性、原発性と続発性に分類される。

 

疫学と病理学

急性腹膜炎は感染性又は炎症性の物質による腹腔の突然の破裂により生じる。大腸又は内臓破裂の場合は、臓器内容物(胆汁など)が炎症を引き起こし、消化管の内容物(細菌、大便、など)が感染を引き起こす。非敗血症性腹膜炎は無菌の胆汁、消化液、又は外来物質(薬剤)が腹腔に漏出することにより生じる。非敗血症性腹膜炎は通常感染症を併発する。原発性腹膜炎は自発性細菌性腹膜炎であり、通常慢性肝臓疾患で発症する場合が多い。続発性腹膜炎は多くの場合、虫垂、憩室、消化性潰瘍により生じ、消化管内容物の腹腔漏出により傷害が起きて発症する。

 

症状

急性びまん性腹膜炎の臨床症状としては連続的な腹痛が起こる。腹痛は広汎性又は臍周囲あるいは誘発部に限局。腹膜炎は緩和又は限局することがある。この他の症状として吐き気、嘔吐、及び発熱がある。頻脈の進行や体温の低下は細菌毒血症や敗血症による切迫腹膜ショックの重大な徴候である。

 

診断

若年患者の場合は、腹膜炎の主な原因として虫垂炎と十二指腸潰瘍が考えられる。老齢患者の場合は、主に憩室穿孔及び癌が考えられる。非ステロイド抗炎症薬やアスピリンの服用は潰瘍や憩室穿孔の可能性が増加する。女性患者では、子宮外妊娠や卵管卵巣腫瘍の可能性が高い。CTにより腹膜炎の原因を調べることが出来る。

 

治療

腹膜炎の治療としては蘇生、感染治療、腹腔鏡手術が行われる。急性腹膜炎では外科手術が行われる。初期治療として、輸液で体液を維持する。血液採取による細菌検査を行い、予防的に広域スペクトルの抗生剤を投与する。

 

予後

腹膜炎は命に関わる疾患であり、治療成果は原因と治療のスピードにより大きく異なる。腹膜炎の原因が虫垂穿孔のように治療可能で、多臓器不全を発症していなければ、死亡率は15%と低い。外科手術後に腹膜炎を併発した場合は死亡率が50%と高くなる。