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医学よもやま話

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放射線腸炎

癌治療

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腹腔内及び骨盤腫瘍のための放射線療法では放射線誘発傷害のリスクがある

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credit:  放射線治療装置、がん研有明病院

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疫学

放射線誘発傷害のリスクは放射線照射域の大きさと放射線照射量により変化する。放射線療法の合併症として照射後約1年で慢性放射線腸炎が現れる。人によっては、放射線療法を受けてから20年後に現れる場合もある。放射線の照射量が50Gyを超えると閉塞性動脈炎、腸壁線維症、漿膜肥厚のような慢性疾患にかかることがある。この他のリスク要因としては加齢、腹部手術歴、および広範囲の放射線照射がある。合併症のリスクは小腸に対する放射線照射量に比例する。

 

症状と診断

急性放射線腸炎にかかると下痢、腸内出血、便秘が起こる。これらの症状は放射線治療の終了後、数ヶ月以内で自然寛解する。

慢性放射線腸炎では腹痛と下痢に襲われる。欠陥拡張症にかかると消化管から出血する。出血は慢性潜血であり、鉄欠乏性貧血を発症するが、ときに出血が顕在化することもある。

大腸の癒着や狭窄による腸閉塞、瘻孔、小腸細菌繁殖、及び吸収不良が現れることもある。

放射線腸炎はCT又は大腸内視鏡で検査する。狭窄が見つかった場合は悪性腫瘍の検査を受ける必要がある。

予防と治療

放射線腸炎の予防として小腸と大腸の放射線照射量を最小にする。治療は対処療法である。腸内出血に対しては毛細血管拡張病変を内視鏡下切除法及び慢性鉄療法を行う。

急性腸閉塞に対しては、腸管休息及び経鼻吸引を行う。症状が改善しない場合や穿孔が生じた場合は手術で対処する。手術の合併症として、傷口の治癒不良、吻合部漏出、及び瘻管が現れることがある。下痢症状の場合は小腸細菌過剰繁殖を検査する。下痢の場合は薬剤で治療する。薬剤を使用する場合は大腸の拡張や便秘に注意する。