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虫垂炎 ― 虫垂の炎症

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高齢患者が虫垂炎にかかると穿孔のリスクが高くなり、死に至る場合がある

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credit: Appendix, Unita General Surgery

 

急性虫垂炎は虫垂の炎症である。虫垂炎を発症すると、腹部の緊急手術が行われる。人間が一生で虫垂炎にかかる割合は約7%である。

 

病因

糞石が原因の虫垂閉塞は患者の30%未満である。閉塞の他の要因として虫垂開口部の潰瘍、リンパ組織の過形成、腫瘍、バリウムの濃縮、及び回虫症が考えられる。閉塞により、虫垂の粘液分泌が妨げられる。これにより虫垂の膨張や粘膜虚血が起こる。この過程で腸管細菌の侵入、感染、及び炎症が起こる。閉塞や炎症が持続すると、穿孔、腹膜炎、下痢、膿瘍形成が起こる。

 

症状

虫垂炎患者の95%は腹痛を訴えるが、50から60%の患者では虫垂炎特有の症状として臍周辺の痛み、吐き気、嘔吐が現れる。一般に食欲不振となり、吐き気は起こるが、嘔吐はまれである。高齢者やコルチコステロイド常用者、臓器移植者、又は糖尿病患者では非特異的な腹部の症状が現れる。

50歳以上で虫垂炎にかかると穿孔が起こる可能性が50%以上になる。3分の1で腹腔内膿瘍が現れる。穿孔の徴候として腹膜刺激や発熱が現れ、腹痛が時間と共に強くなる。

診断

虫垂炎の診断又は他の原因を調べるためにCTの使用が推奨される。しかし、CTは放射線被曝を伴うために、若年層では有害である。CTでは静脈造影剤を使用するが、腎臓に異常のある患者では直腸造影剤を使用する。腹部X線検査では虫垂炎を見つけることが出来ない。

 

治療

虫垂炎が疑われるときは、緊急手術が行われる。近年、虫垂切除は腹腔鏡手術が広く行われている。腹腔鏡手術は開腹手術より時間がかかるが、早期の退院と感染のリスクが低い。しかし、腹腔鏡手術は信頼できる医療機関で受ける必要がある。

 

予後

穿孔虫垂炎では合併症が起こる可能性が18%以上である。非穿孔虫垂炎では10%である。穿孔虫垂炎患者の死亡率は3%であるが、高齢者では15%に上昇する。成人においては、虫垂切除手術で、虫垂憩室炎、肉芽腫性虫垂炎、カルチノイド腫瘍、時には他の腫瘍が見つかることがある。