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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

最新の医学情報を鵜呑みにしてはいけない理由

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証拠に基づかない医学情報に盲従する必要はない。誰も責任を取ってくれず、自分の健康を害するだけである。

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credit:  WHOロゴ

 

医学研究者は研究成果を医学雑誌に投稿する。医学団体は医学の研究成果を患者に推奨する。メディアは研究者の研究成果や医学団体の推奨事項を記事にする。医学的に正しいこと医学的な推測を区別することは困難である。

 

ピーナッツ・アレルギーに対する推奨

最近、アメリカの国立アレルギー感染病研究所の専門部会がピーナッツ・アレルギーに対する方針を変更した。従来は、乳児にはピーナッツの摂取を控えさせていたが、今回、同研究所はピーナッツの摂取を推奨している。

最近の研究からピーナッツのタンパク質を摂取した乳児はそうでない乳児と比較してピーナッツ・アレルギーを発症する割合が顕著に低減していることが判明した。

しかし、従来の推奨は大昔に出さえたものではない。アメリカ小児学会は2000年に、アレルギーのリスクのある乳児には3歳になるまでピーナッツの摂取をさせないように推奨した。この推奨によりピーナッツ・アレルギーの児童が増加した。

 

医学団体による推奨

このように真逆の推奨が出されることは珍しいことではない。人は、医学研究チームの発表より医学団体の推奨をより信頼する傾向がある。しかし、有力な証拠で裏付けされていない推奨は有害である。

他の事例

アメリカ小児学会が特異なわけではない。このような事例は数え上げたらキリがない。乳がん検診学会によるマンモグラフィ検査の推奨は適切に設定された無作為抽出臨床試験で確かめられたものでなく、更に追跡調査も行われていない。更に受診者には偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がんの発症の不利益も認められている。この検査が完全ではないことが判明している。

前立腺癌の検査についての推奨も同様な運命を辿っている。更に、2000年代の初めに、広く推奨されたホルモン補充療法は多数の死者が出たため、特殊な場合でしか使用されなくなっている。

 

現在主流の推奨療法により問題点

低脂肪ダイエットの推奨は炭水化物の摂取を増加させ、肥満の増加につながる可能性がある。コーヒーは現在では多くの証拠により健康的な飲料であることが認められているが、以前は発がん性があると考えられていた。現在、食事の推奨事項として朝食を抜かないこと、水を多く飲むこと、蜂蜜のような天然甘味料を摂取することがあげられているが、すべてが科学的に証明されたわけではない。

ある集団で良好な成果が出ると、他の人々にも適用できると考えがちである。乳癌や前立腺癌のリスクの高い人は検査が必要である。しかし、癌のリスクの低い人に検査を行うことは偽陽性の判定を下す可能性がある。ホルモン補充療法は子宮摘出を行った若い女性に効果がある。他の女性に行うと副作用が現れ、有害である。

推奨が行われるときは、利点のみが強調され、潜在的な落とし穴は考慮されていない。

推奨事項に十分な裏付けが無いと、有害な結果を招くことになる。

 

身近であるが、裏付けのない推奨

食品の問題は複雑になる。推奨されている食べ物として、低脂肪、低炭水化物、グルテンフリー、ピーナッツ抜きなど様々である。ある人はある食物を避けることで、健康利益がある。食品製造企業や医学団体はすべての人に利益があると宣伝する傾向がある。推奨されている食品は、利点だけでなく欠点もあり、それは摂取する人の体質や年齢にも関係してくることを理解する必要がある。

 

参考資料:" Why Medical Advice Seems to Change So Frequently" by Aaron E. Carroll, New York Times 2017-1-16