読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

医学よもやま話

医学情報をご提供します。

ピーナッツアレルギーの予防方法 … ゲーム・チェンジャー

advertisement

子供が乳児のときにピーナッツを食べさせるとピーナッツ・アレルギーは防げる。

****

f:id:tpspi:20170108090039g:plain

 

ピーナッツ・アレルギーに対する新たな勧告

従来の勧告と真逆の勧告がアメリカの研究所から今月上旬に出された。アメリカの新しいガイドラインでは、命にかかわるピーナッツ・アレルギーを防止するために、乳児のときから、ピーナッツを含んた食べ物を子供に定期的に与えることを推奨している。

 

新しいガイドラインは今年1月上旬にアメリカ国立アレルギー感染症研究所より公表された。ガイドラインでは子供が生後6ヶ月以前にピーナッツ・パウダー又は抽出物を含んだピューレなどを与えることを推奨している。

 

体が食物に反応せず、順応出来る期間があり、この時に体を慣らせば、食物アレルギーを免れることが出来る。

ゲーム・チェンジャー

このガイドラインが広く実施されると、致死的な食物アレルギーの一つを発症する児童の数を劇的に減少させることが可能性がある。同研究所理事ののアンソニー・ファウシ博士はこのガイドラインをゲーム・チェンジャーと呼んでいる。

 

アナフィラキシー

ピーナッツ・アレルギーは他の食物アレルギーより気道を狭めるアナフィラキシーにより死亡するリスクが高い。ピーナッツ・アレルギーを発症する子供は生涯ピーナッツを食べることが出来ない。

 

2000年に出された勧告

このガイドラインは2000年にアメリカ小児学会から公表された勧告と正反対なものである。当時は、アレルギーのリスクのある子どもには3歳になるまでピーナッツの摂取は控えるように勧告されていた。

 

勧告の撤回

これらの勧告にもかかわらず、ピーナッツ・アレルギーの発症率は増加し続けた。2010年では全米で約2%の児童がこのアレルギーにかかった。そのため小児学会は2008年にこの勧告を撤回した。

 

研究でわかった事実

新しいガイドラインは英国、オーストラリアおよび米国で長らく採用されていた育児に関する慣行である幼児にはピーナッツを食べさせないとする助言に挑戦する最近の研究に基づくものである。

 

ユダヤ人の子どもたちの比較

2008年に公表された報告書によれば、イスラエルに住むユダヤ人の子供たちはピーナッツ・アレルギーにほとんどかかっていないことがわかった。イスラエルに住むユダヤ人の子どもたちと英国に住むユダヤ人の子どもたちを比較すると、英国のほうがイスラエルよりも10倍ピーナッツ・アレルギーにかかっていることが判明した。このことは、遺伝子、環境などでは説明がつかなかった。

 

これらの大きな違いはイスラエルに住んでいるユダヤ人の子どもたちは幼児のときからピーナッツを摂取していたことである。

リスクによる分類

新しいガイドラインでは乳児をリスクで分類している。湿疹または卵アレルギーがなく、食べ物の摂取を開始したリスクの低い乳児は生後6ヶ月で家庭でピーナッツを含んだ食べ物を与える。軽度の湿疹がある中程度のリスクのある乳児でも同様に対応する。

 

湿疹又は卵アレルギーのあるリスクの高い乳児では、離乳食の摂取後安全性について医師の診察を受けた後、生後4から6ヶ月にピーナッツを含んだ食物を摂取させる。

 

乳児ががハイリスクと判定されても、ガイドラインではアレルギー専門の医師によるアレルギー検査を受けることを推奨している。アレルギー検査がピーナッツに対するアレルギーを示していても、ピーナッツ入りの食品の摂取で効果が得られる可能性がある。スキン検査に対して強い反応を示した場合はアレルギーにかかっているため、ピーナッツ摂取は完全に避けなければならない。

 

提言

ガイドラインでは、ピーナッツを含んだ食べ物は乳児が摂取する最初の食べ物であってなならず、更に成人するまで、ピーナッツ入りの食べ物を1週間に3回定期的に摂取させる必要があると述べている。

 

このガイドラインはピーナッツ・アレルギーのすべての場合に適応できるものではないが、発症率を大幅に減少させる可能性がある。

 

参考資料:Addendum guidelines for the prevention of peanut allergy in the United States: Report of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases–sponsored expert panel