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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

肺炎の概要

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肺炎は入院患者が最もかかりやすい致死性の感染症である。

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喫煙者が吸う煙草の煙のみならず副流煙もマクロファージの機能を損なうだけでなく、繊毛の機能にも影響を及ぼします。

 

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credit:  Cigarette smoke, Nativemothering

 

アルコールや服用薬は通常の咳反射に害を及ぼし、気道から不要な組織片の除去が妨げられることがあります。手術中及び手術後に使用される一部の薬は誤嚥を引き起こし、咳反射を損ねます。患者に発熱、咳、胸痛、息切れがあり、呼吸が早い場合は肺炎を発症が疑われます。痰に膿や血液が混じることがあります。肺炎が重症化するとチアノーゼと呼ばれる酸素不足の兆候が現れ、爪床又は唇が青くなることがあります。

 

肺炎の分類

肺炎は肺実質の感染と気管に限定される感染とに区別されます。更に市中感染性肺炎と施設感染性肺炎に分類され、後者は更に院内感染性肺炎、人工呼吸器性肺炎、と介護施設性肺炎に分類されます。更に、口腔咽頭存在物の誤嚥によっても肺炎が起こります。

市中感染性肺炎

患者の肺炎が院内感染性肺炎、人工呼吸器性肺炎、または介護施設性肺炎によるものであるかを知ることが重要です。感染物質の特定や適切な抗生剤を選択することが出来ます。

 

疫学

先進国における肺炎の死亡順位は上位を占めており、最も一般的な致死性感染疾患です。

 

病因

口腔咽頭内容物の誤嚥

肺が病原微生物により感染する最も一般的な原因は口腔咽頭内容物の微量の誤嚥です。誤嚥は健康な人でも睡眠中に起こります。口腔咽頭における肺炎連鎖球菌などの病原性生物のコロニー形成により肺が感染するのに十分な微生物が肺に送られます。これに対して、顕著な誤嚥は感覚異常、意識低下、咽頭反射障害、又は顕著な胃食道逆流がある人にのみ起こります。顕著な誤嚥が起こると多くの嫌気性の細菌が気道下部に送られ、嫌気性肺感染と膿瘍形成の主要な原因になります。

 

エアロゾル飛沫の吸入

肺感染の2番目に多い原因は微生物を含んだ0.5から1ミクロンの空中浮遊飛沫の吸入です。

 

粘膜繊毛エスカレーター

感染した物質の大きな飛沫が気道に達すると、粘膜繊毛エスカレーターにより除去されます。粘膜エスカレーターは包み込んだ内容物を口腔咽頭に運び去り、ここで飲み込まれるか、喀出されます。0.5から2.0ミクロンの微小物質は肺胞に留まりますが、物質内の微小生物はマクロファージにより取り込みまれ、死滅させられます。マクロファージは更に特殊なタンパク質を分泌して血流から好中球を肺胞に集め、微生物を包み込み、死滅させます。多くの感染微生物は特定の免疫グロブリンの増殖により除去されます。これは微生物の表面又はこれらの多糖類のカプセルに結合します。これら特定の抗体は免疫オプソニンとして機能し、好中球とマクロファージの機能を飛脚的に強化して微生物を死滅させます。微生物がこれらの防御システムを圧倒し、回避するとき、臨床的に重大な肺炎が起こります。

肺炎の症状

患者に咳、痰、呼吸困難などの呼吸症状があり、発熱又は胸部聴診で水泡音などの不連続の胸音が聞こえるときは、肺炎が疑われます。老人や免疫疾患のある患者では肺炎の初期では明確な症状は現れず、食欲不振、錯乱、脱水症状、他の慢性疾患の悪化や徴候しか現れないことがあります。

 

肺炎は患者の特定の習慣や疾患に強く関係しています。例えば、喫煙、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、悪性腫瘍、心不全、神経疾患、鎮静剤常用者、アルコール依存症、及び慢性肝臓疾患があると、肺炎に罹りやすくなります。肺炎の初期の症状や徴候は患者により異なるため、これらで鑑別診断を行うことは出来ません。

 

肺葉肺炎におけるこれまでの身体的所見としては肺組織の硬化、呼吸音の変化、ラ音、及び触覚振盪音の変化がありました。多くの患者の身体的所見は判別し難い水泡音に限られていました。

 

肺炎が疑われるときは、完全な診察、胸部X線撮影(又は、超音波撮影)、及び、血液中の白血球数の測定が必要です。

 

診断

徹底的な病理検査を行っても、肺炎患者の約50%しか原因微生物を特定することが出来ません。肺炎を引き起こす可能性のある微生物は患者の疫学的要因、重症度、診断検査方法により変化します。

 

細菌性肺炎

患者のライフスタイルは特定の微生物の感染リスクに影響する場合があります。例えば、喫煙者や慢性閉塞性肺疾患の患者は侵襲性肺炎連鎖球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス菌、レジオネラ属にかかるリスクが高くなります。アルコール依存症があると薬剤耐性の肺炎連鎖球菌、嫌気性肺感染、及び結核にかかるリスクが高くなります。

 

ウイルス性肺炎

ウイルスは重度の肺炎を引き起こすのに対して、ウイルスも重度の下気道感染を引き起こします。肺炎を引き起こす呼吸器ウイルスとしては多種のインフルエンザ・ウイルス及び呼吸器合胞体ウイルスなどがあります。インフルエンザ・ウイルス及び呼吸器合胞体ウイルスは呼吸器からの分泌物により分離可能です。インフルエンザ感染により高齢者や循環器又は代謝疾患のある患者の死亡リスクが高くなります。