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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

上室性不整脈と心室性頻脈のための高周波アブレーション

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高周波アブレーションは訓練を積んだ専門の医師が行わなければならない。合併症で死に至るおそれがある。

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カテーテルを使用した高周波アブレーション

上室性頻脈や心室性頻脈の治療には患者は長期の薬剤服用又は根治手術を受けなければなりません。高周波アブレーションはカテーテルから患部に高周波エネルギー放出して難治性の不整脈疾患の症状を恒久的に軽減する経皮的治療法です。

 

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credit:  Radio frequency ablation, Boston Scientific

 

カテーテルの先端からから高周波エネルギーが不整脈を起こしている組織に放出されます。高周波エネルギーにより組織が抵抗加熱されます。温度が50℃を超えると不可逆的組織破壊が起こります。

準備

様々なペーシング方法及び/又はや静脈薬剤投与(イソプロテレノールなど)を行い患者に不整脈を引き起こし頻脈発症のメカニズムを判定します。

 

上室性不整脈の高周波アブレーション

房室結節再入性頻脈は最も一般的な発作性上室性頻脈で、再入力回路の遅い部位を高周波アブレーションを行うことにより低減させることが出来ます。経験を積んだ専門の医師による遅伝導路の高周波アブレーションの成功率は98%で、高次房室ブロックのリスクは1%未満です。

 

高周波アブレーションの代替療法として、凍結凝固療法があります。凍結凝固療法では房室ブロックが起こるリスクは低い反面、長期の成功率も低くなっています。凍結凝固療法は房室ブロックが起こるリスクが高い小児等の患者に効果があります。凍結凝固療法は房室ブロックが起こるリスクが低く、房室ノード近辺の副伝導路の除去に有効です。

 

副伝導路に対する高周波アブレーションの成功率は90から98%で、合併症発症率は2から3%です。致死的な合併症発症率は0.1%未満です。非致死的で重大な合併症としてカテーテルによる心臓穿孔による心臓タンポナーデが最も一般的です。患者に中隔副伝導路のある場合は、高次房室ブロックが最も一般的です。

 

心房頻脈が1つのサイトで発生している場合は、高周波アブレーションの成功率は約90%で、合併症の発症率は非常に低くなります。

 

心房粗動は右心房で起こり、三尖弁輪と下大静脈間の右心房下部の狭窄部に高周波焼アブレーションを行うことにより軽減することが出来ます。この種の不整脈に対する高周波アブレーションの成功率は90%以上で、重大な合併症のリスクは1%未満です。

 

高周波アブレーションは薬剤難治性の心房細動患者の症状を軽減することが出来ます。高周波アブレーションの1年間の有効性は発作性心房細動では75から85%で、慢性の心房細動では65から75%です。

 

最も重大な合併症は心筋穿孔、血栓塞栓症、及び心房食道瘻で、これら合併症にかかるリスクは患者の1から2%です。高周波アブレーションの重大な合併症として肺静脈狭窄が起こることがあります。高周波エネルギーが肺静脈に当たらないようにして防止します。

難治性心房細動患者の心室拍動を下げることが出来ないときは、房室結節に高周波アブレーションを行います。これにより症状、機能的能力、及び左心房機能が改善します。

 

房室結節に高周波アブレーションを行うと、第3度の房室ブロック(完全房室ブロック)が必然的に起こります。成功率は100%ですが、患者は恒久型ペースメーカの移植が必要になります。難治性の洞性頻脈も高周波アブレーションで治療可能ですが、この方法は最後の手段として推奨されます。

 

洞性頻脈の高周波アブレーションの成功率は80%ですが、患者の10%は不適当な心房補充速度のためペースメーカが必要です。

 

リスクとメリットを勘案すると、高周波アブレーションは発作性上室性頻拍、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、又は症状のあるタイプI心房粗動患者の一次治療に適しています。

 

心房粗動や洞性頻脈で薬剤難治性で症状の重い患者にのみ高周波アブレーションを行うことが出来ます。

 

心室性頻脈のための高周波アブレーション

突発性心房性頻脈を発症した患者に対して一次治療法として高周波アブレーションを行うことが出来ます。突発性心房性頻脈は一般的には右心室の出口に起こります。心室性頻脈に対する高周波アブレーションの成功率は85から100%であるのに対して、合併症の発症率は非常に低くなっています。

 

冠状動脈疾患にかかると、心室性頻脈は通常、左心室の狭窄部に隣接した組織に起こります。この疾病のプロセスは限局的ではなく拡散的であるため,心室性頻脈は複数の部位から発生しているため、高周波アブレーションで心室性頻脈を治療することは出来ません。

 

高周波アブレーションは植込み型除細動器又は抗不整脈薬療法の補助として使用されています。冠状動脈疾患において、心室性頻脈の高周波アブレーションの成功率は65から95%に対して、重大な合併症発生率は約5%と低くなっています。