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医学よもやま話

医学情報をご提供します。

大腸癌のための全身化学療法と併用化学療法

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全身化学療法は原発性の癌のみならず、転移癌に対する治療である。

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大腸癌の補助化学療法及び転移疾患の基本薬は代謝拮抗薬であるフッ素化ピリミジンです。代謝拮抗薬は消化管内では活性化せず癌細胞内で活性化します。

 

最も一般的に使用されているフッ素化ピリミジン系の薬剤は5-フルオロウラシル(5-FU)です。

 

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credit:  5-FU、協和発酵キリン株式会社

 

5-FUはチミジン酸シンターゼを非活性化させて、DNAの合成及び修復を阻害します。5-FUは更にRNAに結合して、RNAの働きを阻害します。5-FUは単独では特に効果はありませんが、5-FUの効能は服用方法を変えて(時間をかけた輸液)や様々な生化学的装飾物質(例えばロイコボリン)と組み合わせることにより、効果が増強されます。

 

ステージIの大腸癌は切除することにより治癒率は高くなりますが、全身療法によっては治癒率は向上することはありません。

 

ステージIIの患者は再発のリスクが高くなります(無再発生存率は3年で約76%)。リンパ節への転移が陰性の患者で5-FUとロイコボリンを使用した全身療法にでは生存率は約3%上昇します。これらの患者は、術後の化学療法としてステージIIIの癌患者用の治療薬を服用する必要があります。局所再発のリスクが高い患者には放射線療法も行われています。遺伝子検査により再発のリスクの高い患者の特定、及び全身療法の効果を判定することが可能です。

ステージIIIの結腸癌患者の5年無病生存率は40から45%です。顕著な合併症を防止するために、リンパ節転移陽性患者はすべて補助的な全身療法を受ける必要があります。5-FUとオキサリプラチンの併用化学療法により長期生存率が向上しており、標準的な治療法になっています。

 

イリノテカンや生物製剤(ベバシズマブ、セツキシマブ)は進行した癌の治療に効果がありますが、術後に投与された場合は明確な効果は期待できません。

 

患者に併用化学療法が行えない場合は、カペシタビンが投与されることがあります。カペシタビンは連続的な酵素の働きで5-FUに作用する経口プロドラッグです。併用化学療法として、カペシタビンはオキサリプラチンと効果的にかつ安全に併用されています。