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結腸直腸癌 ― 結腸直腸の腺癌

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大腸癌が進行すると、腸閉塞や穿孔が起こる。

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腺癌とは結腸、直腸、乳房、食道、肺、膵臓、及び睾丸などの体の各部の腺上皮細胞の癌です。結腸直腸癌は長い年月における複数の遺伝子の疾患の蓄積により起こります。疾患が進行すると、組織の構造のみならず細胞の遺伝子型も変化します。

 

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credit:  large bowel  ASCRS

 

疾病の早期に、ヒトの癌抑制遺伝子であるAPC遺伝子又はミスマッチ修復遺伝子のいずれかで突然変異が起こります。APC遺伝子は細胞の成長及び細胞死を制御し、突然変異により結腸直腸癌が起こりやすくなります。ミスマッチ修復遺伝子の突然変異により、DNA転写エラーの修復が出来なくなり、突然変異が蓄積されていきます。APC遺伝子における生殖細胞系列の突然変異は家族性腺腫性ポリポーシスの原因となり、ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列の突然変異は遺伝性非線腫性結腸癌の原因となります。突然変異が蓄積することにより遺伝子が不安定となり、更に異型接合性が失われ、有糸分裂時に各染色体の損失により細胞は遺伝子の一方の対立遺伝子しか持つことが出来なくなります。DNAのメチル化が変化すると、p14やp16などの腫瘍抑制遺伝子が正しく機能しなくなります。他の遺伝子や後成的な変化により転移が起こります。

臨床症状

結腸直腸癌の共通の症状として直腸からの出血、腹痛、腸の状態の変化などがあります。全身性症状には体重減少、黄疸、腹水などが現れます(腹水は腹膜転移で現れます)。症状は病変の進行により異なり、進行していないときは出血と関連する症状が現れ、進行していると腸閉塞や穿孔を発症しやすくなります。直腸癌では裏急後重(排泄後に残る不快な疼痛)や大便の大きさが変化します。直腸癌では仙骨神経叢が影響を受け、神経障害性疼痛が現れます。

 

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