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人体におけるアルコールの代謝

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慢性的なアルコール摂取は耐性を強め、禁断症状を引き起こす。

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アルコールの代謝

酒に含まれているアルコールは体内で鎮痛睡眠薬として作用します。女性は男性と比較してアルコールを代謝する酵素(胃アルコール脱水素酵)のレベルが低く、アルコールの影響が強く現れます。アルコールの吸収は胃の中に食べたものが入っているか、飲酒速度、などにより変化します。アルコールの代謝が肝臓で行われ、アセトアルデヒドと酢酸エステルに分解されます。

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図:エタノールがアセトアルデヒドに分解

 

人のアルコールの代謝量は基本的に体重に比例しますが、他の要因により変化します。

 

アジア人の多くに遺伝子変異がみられ、アルコール分解酵素イソ酵素の構造の変化により、顔の紅潮、熱い感覚、頻脈、及び血圧低下を含むアルコール紅潮反応が現れます。

 

アルコールの摂取が少量の場合はアルコール脱水素酵素が有効に機能しますが、アルコールの摂取の増加や、他の薬剤の服用により、ミクロソームアルコール酸化系が働き出します。

 

アルコール耐性と禁断症状

脳内では、アルコールがγ-アミノ酪酸(GABA)、NメチルDアスパラギン酸塩、オピオイド受容体などに作用すると考えられています。グリシン受容体やセロトニン受容体を介してアルコールが脳に影響すると考えられています。アルコールの禁断症状とアルコールの慢性摂取はアルコール摂取量を増加させ、アルコール耐性が現れます。この結果、アルコールを大量に摂取しないと、酔わなくなってしまいます。

アルコールによる障害

アルコールの慢性的摂取により短期記憶障害、認知機能障害、及び知覚異常などの神経心理学的障害の多くが現れます。アルコール摂取により現れる最も重大な障害は肝臓毒性です。肝臓毒性により、炎症や瘢痕などの広範な組織学的異常や肝硬変が現れます。肝臓毒性の病態生理学的なメカニズムにより毒素の放出や遊離基が形成され、肝臓のタンパク質、脂質、及びDNAが悪影響を受けます。

 

アルコールは更に心臓や心血管システムに悪影響を及ぼします。アルコールの毒性は心筋細胞に害を及ぼし、心不全を起こし、更に消化管(食道、胃)、免疫系(骨髄、免疫細胞形成)、及び内分泌系(膵臓、生殖腺)に悪影響を及ぼします。高血圧の発症要因として慢性的な大量の飲酒があげられています。

 

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