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医学よもやま話

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麻酔薬のリスク ― 麻酔を使用する前に必要な検査

外科

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持病の治療薬が麻酔薬に影響して、合併症を引き起こすことがある

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手術を受けるときは、患者は痛みを軽減するために麻酔を受けます。患者が健康な場合、麻酔が原因で死亡する割合は非常に低く、アメリカでの調査によれば2万人に1人だと言われています。手術前後の死亡の主要な原因は患者の持病によるものです。従って、患者が麻酔によるリスクがないか、手術前に調べておき、患者に合った麻酔方法を使って手術を行う必要があります。また、麻酔による合併症が出た場合は、すみやかに処置できるように検討しておく必要があります。

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手術前検査

手術前の麻酔のリスク評価の項目として、手術の種類、患者の持病、麻酔の必要性があります。

 

手術におけるリスク評価

アメリカでの調査によれば、健康な患者の麻酔のリスクは低く、死亡率は0.03%、軽度の疾患のある患者では0.2%、重度の疾患のある患者では1.2%、命に関わる全身性疾患患者では8%、手術をしなければ24時間以内に死亡が予想される瀕死の患者では34%です。

 

脳脊髄幹(脊髄又は硬膜外)麻酔は全身麻酔より術後の合併症が低減するとの分析結果がありますが、麻酔方法は麻酔科医の責任で決定されます。

気道検査

領域麻酔や麻酔管理(鎮静薬を使用した局部麻酔)であっても、予期しない合併症や気道反射障害が生じると緊急に人工呼吸が必要となるため、患者の気道を事前に検査しておく必要があります。喉頭マスク気道器具を使用すれば、患者が呼吸が出来ますが、事前に患者の肺換気能力と共に患者に装置が挿管出来ることを確認しておく必要があります。

 

事前に検査すつ理由として、患者の気道に疾患(腫瘍、手術歴)があったり、患者の喉頭と気管の形状が異常な場合があるからです。患者の気道に異常が有る場合は、患者の鼻や口から光ファイバー式の気管支鏡を使って気管内チューブを気管に挿入します。気管内挿管が出来ないときは、手術で気道を確保します。気管挿管が困難な場合は、患者が肥満で無い場合で、約6%です。

 

悪性高熱症

全身麻酔時又は直後に患者に異常高熱(悪性高熱症)が生じる場合があります。悪性高熱症の遺伝子変異の有る患者は安静時には体調に変化はなく、吸入麻酔薬または脱分極性筋弛緩薬の投与により、命に関わる筋拘縮、心拍数および体温の上昇、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症、及び代謝性アシドーシスが生じる場合があります。適切な治療を行わないと死亡率は80%となりますが、適切な治療で約5%に低減します。

 

悪性高熱症の発症を防止及び軽減するためにダントロレンなどの筋肉痙攣抑制薬を使用します。

 

この他、悪性高熱症の治療として、吸入麻酔薬の中止、アシドーシスが重度の場合は重炭酸塩を投与、及び低体温症にならないように注意して体温を39℃以下に維持します。

抗うつ薬、鎮痛薬、及びセロトニン毒性

抗うつ薬のモノアミン酸化酵素阻害薬は麻酔薬に作用します。更に、抗うつ薬によるセロトニン毒性は悪性高熱症に似た症状を示し、麻酔を使用する前に患者にセロトニン毒性が無いか検査しておく必要があります。

 

セロトニン毒性の神経筋機能亢進症、自律神経亢進症、及び精神状態の異常の三徴候は抗うつ薬のモノアミン酸化酵素阻害薬やセロトニン再取り込み阻害薬により誘発されます。硬直、動脈の二酸化炭素レベルの上昇、及び38.5℃以上の発熱は命に関わる中毒症状を示しています。

 

オピオイド鎮痛薬をモノアミン酸化酵素阻害薬と併用するとセロトニン遊離薬として作用するため死に至ります。鎮痛薬や抗うつ薬もセロトニン遊離薬として作用するためモノアミン酸化酵素阻害薬と併用するとセロトニン毒性を示します。

 

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