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虫垂炎

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高齢者で虫垂炎になると虫垂破裂のリスクが高くなる

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虫垂炎は虫垂(俗にいう盲腸)に生じる炎症です。虫垂炎を発症すると腹部の緊急手術により虫垂を切除する必要があります。虫垂炎は若年層に多く発症しますが、すべての年代で発症する可能性があります。一生を通して虫垂炎を発症率は約7%です。

 

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credit:  CT  Siemens

 

病因

虫垂炎の主要な発症原因として糞石による虫垂の閉塞が考えられていますが、発症率は30%以下です。

 

他の虫垂炎発症原因として虫垂の潰瘍、リンパ組織過形成、腫瘍、バリウムの濃縮化、及び回虫症があります。

 

虫垂の閉塞により粘液が留まり、虫垂が膨張し虚血が生じます。この状態で、管腔内細菌が虫垂に侵入し、感染や炎症を引き起こします。閉塞と炎症を放置すると穿孔、腹膜炎、下痢、及び膿瘍が生じます。

 

症状

虫垂炎患者の主症状として腹痛があげられます。虫垂炎の典型的な症状である臍周囲の痛み、吐き気や嘔吐の症状は患者の約半数にしか現れません。

 

虫垂炎患者のほとんどに食欲不振や吐き気の症状が現れますが、嘔吐は稀です。

 

50歳以上の虫垂炎患者では50%以上で虫垂穿孔が生じ、この内3分の1で腹腔内膿瘍が生じます。虫垂穿孔の症状として腹膜炎、発熱、及び持続的な腹痛があげられます。

 

診断

急性虫垂炎では通常白血球が増加しますが、発症初期では増加しない場合もあります。

 

通常、急性虫垂炎はCTで検査されます。CTでは放射線を使用するため、若年層では被爆に注意が必要です。更に、造影剤を静脈に注射する必要があるため、腎臓に疾患のある患者では、直腸造影剤を使用します。

 

治療

虫垂炎が疑われるときは、緊急に虫垂切除術を行い、虫垂を切除します。近年では、虫垂切除術に腹腔鏡が多用されています。

 

腹腔鏡式虫垂切除術は開腹手術より手術時間が長くなりますが、回復が早く、傷口から感染リスクが低下します。手術前に抗生剤を服用して、非複雑性虫垂炎における感染による合併症リスクを減らします。

 

膿瘍を伴う虫垂穿孔がある場合は、緊急に虫垂を切除します。

 

予後

穿孔性虫垂炎で生じる合併症の発症率は18%以上です。これに対して、非裂孔性虫垂炎では約10%です。穿孔性虫垂炎患者の死亡率は3%ですが、老人患者の死亡率は15%と高くなります。虫垂炎の疑いで虫垂切除術を受けた患者の大部分は自然に治癒する疾患です。