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熱射病より重篤な命に関わる熱疾患

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熱中症

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熱中症は命の関わる熱疾患です。体温が非常に高温になり多臓器不全が起こります。次の症状から熱中症を他の熱疾患から区別できます。

  • 体温が40℃を超える。
  • 脳障害が進行する。

 

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credit:  Omron 電子体温計 MC-680

 

人が長時間高温にさらされたり、密閉した暑い環境にいると、熱中症は急激に進行します。例えば、暑くて湿度の高い気候では、若くて健康なアスリートでも熱中症にかかります。暑い環境での労働、特に思い防護服を着用しなければならない消防士や工場労働者では熱中症にかかるリスクがあります。アスリートの死亡原因の上位に熱中症があります。

 

高齢者が暑い日にエアコンを付けずに数日過ごすと熱中症にかかる場合があります。高齢者、持病のある人(心臓、肺、腎臓、又は肝臓に疾患がある人)、及び幼児が最も熱中症にかかりやすくなります。

 

高齢者が熱中症になると危険な理由は高齢になると暑さを感じ難くなるため、熱中症にかかったことに気づかなくなります。気づいた時には症状が進行した状態になります。通常、暑い時には汗が出ますが、高齢者は汗が出難くなり、体の熱を外に逃がすことができなくなります。さらに高齢者は体内の水分量が減少している上に、喉の渇きが感じ難くなり、水分の補給を怠ることになります。これにより、高齢者では脱水症が起こりやすくなります。

 

体が高温に長時間さらされると熱を逃がすことができないため熱中症が起こります。体は自分で冷やすことができず、体温は急激に危険なレベルに上昇します。排熱障害、ある種の皮膚病や発汗抑制の薬剤を服用している人は熱中症のリスクが上昇します。

 

熱中症は心臓、肺、腎臓、肝臓、及び脳のような重要な臓器に一時的又は恒久的に損傷を与えます。体温が高くなればなるほど、特に41℃を超えると、急激に症状が悪化し、死に至ります。

 

熱中症の症状

めまい、ふらつき、衰弱、ぎこちなさ、及び協調運動不全、疲労、頭痛、目のかすみ、筋肉の痙攣、吐き気、および嘔吐(これらの症状は熱射病の症状でも有る)は熱中症で良く見られる警告の症状です。熱中症にかかった人は体温が極度に上昇したことに気づきません。

 

熱中症にかかると皮膚は熱くなり、赤みを帯び、乾燥する場合もあります。暑くとも、汗がでない場合があります。

 

脳の機能障害のため、患者は錯乱や混乱し、発作や昏睡状態に到る場合もあります。心拍数や呼吸数が増加します。脈拍は早くなります。血圧は上昇又は降下することがあります。

 

体温は通常41℃を超え通常の体温計の目盛りの上限を超える場合があります。

 

熱中症の診断

  • 症状と高温多湿環境下履歴

 

患者に高熱があり、脳に機能障害があり、高温多湿環境下にあれば熱中症と診断されます。

 

熱中症と明確に診断が下せない場合は、同様な症状を引き起こす疾病についての検査が行われます。同様な症状を引き起こす疾病には感染、脳卒中、薬剤、および甲状腺亢進症があります。

 

熱中症の予後

熱中症の死亡リスクが高い要因として、患者が高齢であること、低年齢であること、他の重度の疾患(心臓、肺、腎臓、又は肝臓疾患)があること、高体温であること、高体温状態が継続していることがあげられます。

 

熱中症患者を迅速に治療しないと、約80%の患者は死に至ります。生存者でも約20%の患者では脳の働きが完全には回復しません。患者は性格の変化、ぎこちなさ、又は協調運動不全が起こります。回復後も、体温は数週間異常に変動します。

 

熱中症の治療

  • 蒸発冷却を行う。
  • 冷輸液の点滴を行う。

 

患者の体を直ちに冷やす必要があり、救急搬送を待つ間、患者の体にぬるい水の霧を吹き付け、ファンの風を当てて患者の体温を下げます(蒸発冷却)。冷水の霧を吹き付けると、患者は震えにより、熱が出ます。

 

熱中症患者の体温を下げるためには、感染症用の解熱剤(アスピリンやアセトアミノフェン)は効果がないため使用できません。

 

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