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iPS細胞の恩恵

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2022年までに日本人の80%がiPS細胞の恩恵を受けやすくなる

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iPS細胞の作成

iPS細胞は患者の細胞から作られます。iPS細胞を患者の必要な組織の細胞に分化させた後、必要な大きさに培養させて、これを患者に移植します。

 

iPS細胞の作成費用と期間

患者の細胞から作ったiPS細胞を使用した場合は、拒絶反応が出ないため、培養した細胞を患者に安全に移植することがでます。欠点として、数千万円の費用と約半年の作成期間が必要です。

 

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HLAの適合

外から入ってきた異物を「非自己」かどうかを識別するのがHLA(組織適合白血球抗原)です。HLAで拒絶反応に関係しているのが主としてHLA・A、HLA・B、HLA・DRと呼ばれるもので、人間にはそれぞれ2つあるので、合計6種類あります。この6つのパターンが全て一致するのは、兄弟姉妹で4人に1人、それ以外では50から1,000人に1人と少なくなります。HLAが完全に合っていないと拒絶反応が起こりやすくなります。

 

 

iPSストック・プロジェクト

通常父方由来のHLA型と母方由来のHLA型は異なりますが、両親から同じHLA型を受け継いでいる人がいます。この人をHLAホモ接合体を有する人と呼びます。日本人の数百人に1人の割合でHLAホモ接合体を有する人がいます。HLAホモ接合体を有する人の細胞から作成したiPS細胞はほとんど拒絶反応を起こさずに使用できます。HLAホモ接合体を有する人から採取した血液細胞でiPS細胞を作り、これをストックすることにより、移植費用と時間を大幅に低減させることが出来ます。このiPS細胞の他家移植の取り組みを「iPSストック・プロジェクト」と呼びます。そのため、京都大学iPS細胞研究所では2022年までに日本人の80%で拒絶反応が起きにくい他家移植を可能にする計画を進めています。

 

iPSストック用血液細胞の採取

HLAホモ接合体を有する人は日本骨髄バンクのドナー登録者、臍帯血バンクへの臍帯血提供者、及び日本赤十字社で献血された人のデータから知ることが出来ます。該当者には日本赤十字社より血液細胞の提供依頼の連絡行われます。該当者が協力可能なら、採血により血液細胞をiPS細胞研究所に提供されます。

 

プロジェクトの促進

日本人の80%で拒絶反応が起きにくいiPS細胞を作るためには、さらに75種類のHLAホモ接合体を有する人から血液細胞を採取する必要があります。これまで、iPS研究所は京都大学附属病院でのみHLAホモ接合体を有する人から血液細胞の提供を受けていましたが、同研究所は東京にも採血拠点を開設してHLAホモ接合体を有する人が血液細胞を提供しやすくします。東京の採血拠点は東京海上グループの「海上ビル診療所」に開設されます。

 

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